Birth16「快美の熱情」




「は…ぁっん……はぁ、はぁ、あぁ…」

 久々の熱塊の圧力に息をつくのも重さを感じます。初めてではないにしろ、やはり7年ぶりともなれば、躯も柔軟には対応出来ないようでした。

 しかし、蜜によって出来た潤骨油は重圧を緩和していき、また気遣った律動的な抽挿により、徐々に馴染みを覚え、声が容易く蕩けていきます。

「其方の中は私にしっかりと絡み付き、たまらぬ心地良さを与えてくれる」

 陛下の蜜のように甘いお言葉が私の頭の中を蕩かし、そしていつもより低音で熱を含んだ艶っぽいお声が私の躯の芯を疼かして、思わぬ劣情を抱かせます。いつしかさざ波のように広がる快楽が理性として残っていたオールさんの存在を薄れさせていきました。

 微かに残る忘れてはいけないという思いも、与えられる甘い陶酔感にとって、その理性は砕かれていきます。今はもう目の前の陛下しか考えられなくなっているのです。

 そして緩慢だった動きが、いつの間にか淫らな動きへと変わっていきますと、結合部から蜜と液が混ざり合う卑猥な音が洩れ、肉感的刺激に包まれます。腰を打ち突ける淫らな動きも、耳を犯す官能的な音も、すべて性的興奮を誘い、禁断の地へと昇り詰めていきます。

「んっ…あぁ…はぁ…あ、あっ…」

 忘我に浸るような甘波の余韻に、言葉を紡ぐ事が出来なくなっておりました。無意識に目の前の陛下を見上げると、汗を帯びて男性とは思えぬ程の蠱惑的なお姿で私を見つめており、私の鼓動は高鳴る一方です。

「良い顔をしている。なんとも言えぬ扇情的な表情だ」

 いえ、貴方様の方が十分扇情的でございます。今まで見た魅力的な女性よりも、今の陛下が一番身も心も狂わせる色香を放っていらっしゃいます。突っ込み後、私の中で蠢いていた陛下の熱塊が引き離され、圧迫感から解放されたのかと安堵をつきました。

 それも束の間、彼はいきなり私の両膝の裏を持ち上げ、それによって私の腰は高くせり上がり、さらに両膝が胸につくほど折り曲げられた格好にさせられた後、再び抽挿が始まります。

「あぁっ!」

 先程よりも肉茎が深部へと突き進み、しかもこの体勢ではその内容が丸見えではありませんか。このような格好有り得ません。胸を突き上げてくる羞恥に目に潤いが生じてくるのが分かりました。

「恥ず…かし…い…です」

 思わず羞恥心を言葉にしますと、陛下は口角を上げ、満足げに笑みを深められました。とても意地悪な表情に思えます。言葉は交わされず、代わりに最奥へと快感が送られてきます。

「あぅっ!そ…そこはっ…」
「ここか」
「あぁんっ」

 眼裏にビリビリッと閃光が迸ります。繋がって間もないのですが、既に陛下には私の絶対的な場所を探り当てられておりました。

「締まりが強まったな。気持ちが良いのか?」
「あぅっ、そのような事…あぁっ!」

 躯とは裏腹の言葉を否定するや否や、陛下は腰を密着させて、最奥まで挿入した状態で小刻みに腰を震わせ、集中的に突き攻めます。動きが素早くなり、錐揉きりもみされたような刺激を与えられ、呼吸が詰まりそうになります。

「ほぅ、今度は潤いが増したように思える。動きが滑らかになったな」
「はんっ…あんっ、やぁあっ、はぁあ!こ…んな…の駄目…です」

 私の羞恥心を煽られているのか、陛下は感じた事を満遍なく口に出されます。

「それではこれはどうだ?」
「はんっ…あんっ、いやぁあっ!」

 今度は膣内を掻き回すように、腰のグラインド攻めが始まりました。中で粘膜が激しく擦れ合い、ぢゅぶぐちゅと音が鳴り響きます。さらに雄心の恥骨をグリグリと押しつけられ、花芯を上手い具合に擦られており、筆舌に尽くし難い快楽に襲われます。

「嬉しい限りだ。どれも快楽を得ているようだな」

 なんというサディストでしょう。陛下の潤いのある声と確信を得た優雅な笑みは明らかに愉悦を感じていらっしゃいます。それから陛下は私の弱点を一心不乱に穿ち続けられます。

 そうしていく内に、次々と快楽が海のように沸き立ち、私は頭が熱く燃え意識を失いかけます。そして全身がたぎるように熱くなり、汗が滲み出るようになりました。

 快美を得ているのは陛下も同じようで、彼の凄艶の表情や乱れた息遣い、迸る水気が満身へと表れているのを肌で感じ取りました。それに感化された私の躯は炎上していきます。
「はんっ…あんっ、やぁあっ、はぁあ!」

 より私の嬌声が上がりますと、打ち突く速度が上がり、ゾクゾクと背中から躯全体へと戦慄わななきき、それは高波のように頭の芯まで到達してきました。

―――あぁ、もう…。

 絶頂が近い事を悟った私は頭の中が蕩かされ、真っ白となりかけます。v
「もう達しそうだな。では…」
「はぁああんっ!もう…いやぁあっ!」

 躯が大きく揺さぶられ、隆起した胸が狂乱の如く踊り続けます。

「共に昇り詰めるまでだ」

 雄心が隆々と激しく蠢き脈打ちます。

「はぁっ、あぁんっ、はぁんっ……んあぁぁああ――――っ!」

 私の喉の奥が破れる程の叫び声と同時に精が盛大に迸り、私の躯は跳ね上げ、一気にパァン!と、頭の中がぜました。そして瞬く間に意識が薄れ遠のいていくのを感じていったのです…。

◆+。・゜*:。+◆+。・゜*:。+◆

―――ここは?

 淡い真っ白なもやが広がっています。何処までも同じ光景が果てしなく続き、不安を覚えた頃、次第に辺りが映像化されていきます。あちらは何でしょうか?女性…の後ろ姿でしょうか?

 形が漠然としており、言葉に出来ません。私は映像の様子を至近距離で俯瞰ふかんしておりました。やがて胸がすくようにもやが晴れていき、映像がはっきりと瞳に映ります。

 やはり女性の後ろ姿のようです。そちらの女性は芝生の上で横座りになっています。背中へと流れる絹糸のような艶をもつ漆黒の髪が、とても美しく強い印象を受けます。心なしか女性の肩が小刻みに揺れているようで、笑っているのですね。

 どうやらどなたかと談話をしているようです。私も女性と同じ視線の先へと目を向けますと……え?息が詰まりかけました。その理由は新たな人物を目にして、夢から目覚めるような驚きが走ったからです。

―――あれはアトラクト陛下?

 私の知る陛下よりもあどけない顔立ちをなさっています。そして春の陽射しのように暖かく穏やかな笑みを広げられていました…。





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