Birth13「密事は深まり」




 陛下から右脚を持ち上げられ、心の平衡感覚を失うような緊張が駆け走り、足の爪先にグッと力が入ります。

「あっ…」

 零れた声と共に力が弛緩されます。陛下の唇が私の足の指を含み、そのまま舌で愛撫を始められました。私は大きく戸惑います。今まで前戯で足に舌を廻された事が無かったからです。

 それに足ですよ?いくらお風呂で綺麗にした後でも、国の主に足を愛撫してもらうなど、自分の立場を考えれば、萎縮する行為です。しかし、そんな懸念を打ち砕く熱い舌戯に、またしても私は鼻にかかった甘い吐息を零します。

「あっ、はぁん…」

 知りませんでした。足の指や指と指の間が気持ちいいものだなんて。私ははしたなさを隠すように口元を手で押さえ、必死に声を押し殺します。それも数秒で無意味となりますが…。

 舌は私の左右のふくらはぎ、膝裏、内腿と上がっていきます。丹念に廻されながら、触れられる場所すべてが性感帯へと変わっていくように思えました。そしていつの間にか内腿の奥へと入ろうとしていました。

 今、陛下の目の前には柔らかな光沢を放ち、薔薇のケミカルレースで華を飾る真っ白なショーツが見えております。その奥が私の大事な秘部でした。そこに突然ふぅーと息を吹きかけられ、

「あぁ…んっ」

 私の躯は大きく戦慄きました。まるで自分の躯ではないような感覚に困惑します。

「吹きかけた場所には何も触れていないのだが、どうやら其方の此処は蜜によって沁みているようだ」
「!」

 陛下のお言葉に、私の顔は恥じらいの色で溢れます。快感に酔わされ、躯が芯から疼ているのを感じておりましたが、まさかそれが形となって現れていただなんて。

 そもそも今のこの体勢にも問題があります。膝を曲げて大きく開いている私の両足の間から、陛下の美しいお顔が秘部を覗いていらっしゃるのです。私は言い知れぬ羞恥のあまり、躯を硬くして目を伏せました。

「この沁みは其方が感じている何よりの証だ」

 陛下はとんだサディストです。これ以上の恥辱は身が焦がされてしまいます。ですが、私の気持ちと真逆に、陛下のお言葉が私の羞恥を扇いでいきます。早鐘となった心臓は胸を突き続け、破裂するのも時間の問題です。

「その恥じらう姿がまたそそる。常落ち着いておる其方からは想像もつかぬ類まれな姿だな。存分に情事が楽しめそうだ」
「あっ」

 そう妖かしの笑みを覗かせる陛下から、まるで手品師のようにスルリとショーツを剥ぎ取られ、私は目を丸くします。どれだけ手馴れていらっしゃるのでしょうか。ここまでの手際の良さはそれなりの数の女性を抱いていらっしゃったと予測がつきます。そして完全に大事な部分は晒されてしまい、私の顔は燃えるように上気します。

「ふ…っぁあん」

 再び内腿に陛下の舌先が触れ、そこから舌全体で愛撫が始まり、ここも私にとっては性感帯のようで、無意識の内に躯がくねり始めました。すると舌の動きは機敏となって、私の躯は無造作に悶えます。

 快感は確実に募っていき、甘い潤いのある声を洩らしますと、舌は腿の付け根を伝り、さらに奥へと進んでいきます。秘部に近づくにつれ、ビクンと私の躯は跳ねるようになりました。

 そして反応を確認されながら、狙い目を図られ、とうとう秘部に舌が入り込んで参りました。最初は茂みに絡み、優しく撫でていかれ、それだけでも躯の芯にまで伝う十分な刺激ですが、それから深く絡んでいき、今度は秘唇の愛撫へと移ります。

 小さな秘唇を包み込んでいる大きな秘唇を下から優しくねぶられ、フワッとしたまろやかな快感が生まれます。次に内側の小さな秘唇に移りますと、そこは陛下の唇で挟まれてしまい、強い刺激が廻ります。

「其方、随分と気持ちが昂っておるな。此処の唇が大きく開いておる」
「い…や…です」

 状況説明なんて入りません。確かに下の唇は気持ちが高揚しますと、独りでに開く仕組みとなっています。ですので、陛下のおっしゃる通りで、何も言い返す事が出来ません。舌は緩急をつけながら、バリエーション豊かにねぶり上げていき、秘部全体が潤いに満ちていくのが分かりました。

「それから奥から絶え間なく蜜が溢れてきておる」
「はぁ…はぁん…あぁっ…」

 蜜で溢れ泉となった秘部の中を舌がピチャクチュとした音と共に軽やかに泳ぎ、滑らかな舌戯が私に淫らな声を上げさせます。陶酔感が波のように次々と打ち寄せ、私は肩で刻むように息をし続けておりました。

 時折、蜜をすするなんとも淫靡な音が耳の奥を震わせ、嬌声が上がります。いつしか舌先の差し入れが始まり、それと同時に陛下の鼻の頭が敏感な花芯を刺激します。

「あぁ…んっ」
「其方の気に入っている場所は此処のようだな。甘い蜜を絡め、紅潮とした色合いの果実だ」
「はぁん…い…やぁんっ」

 舌で花芯を軽く弾かれ、程度を調整されながら圧力を加えていきます。花芯が舌に馴染んできますと、下から上へと律動的に弾かれたり、集中的に捏ねるなど、ネットリと執拗な動きへと変わりました。

「ほう、果皮を被っていたようだな。これを剥げば秘宝の実が頂けるようだ」
「あぅっ、そ…それは…駄目です」
「禁断の果実だと思えば思う程、口にしたいと欲するのは人間の本能だ」

 その答えは私の拒否を認めぬと遠回しの言い方に聞こえました。そして陛下は果皮を剥ぎ、素の姿の花芯を露わにし、ぢゅぅと吸い付いたのです。

「はぅ…あんっ!」

 バチバチッと脳裏に閃光が放ち、私の躯は弓なりとなって跳ね上がります。このような刺激、一度だけしか堪えられません。しかし、その思いは次の瞬間には川のように流され、私は幾度も火花を散らしていったのです。

 堪え切れず躯全体にグッと力が入り、思わず脚で陛下の頭を挟んでおりますと、それが却って行為を促しているように思われ、私は悶え続ける事となりました。

「い…やぁっ、あんっはぁんっ」

 何度も何度も襲われ、秘部から頭の芯へと凄絶な痺れが駆け巡り、私は顔を寝台に押し付け、力を込めてシーツを握り、必死で快楽を堪え続けます。

「あぁっ!」

 断末魔に似た嬌声が空気を裂きました。花芯が唇に吸い込まれながら舌で刺激され、鋭い衝撃が頭を貫き、すべてが180度変わって見えました。ぢゅるぢゅるという音と共に振動を加えられ、私は躯をくねらせ、陛下から必死に逃れようとします。

 ところが、それよりも先に陛下の手が脇の下まで伸び、左の胸を鷲掴みにされ、揉みしだかれてしまいます。まるで離れる事は許さぬと、激しく揺さぶられておりました。

 極めている舌戯は恐ろしく執拗に絡み、尽きる事なく快感を注ぎ込まれ、私の理性は音を立てて崩されました。それは陛下の手に陥落したに等しいのです。そして込み上げてくる快楽の波は極致へと向かい、

「あぁ――――っ」

 刹那、頭の中がつうざくように弾け、私は大きく仰け反り、達してしまったのです。





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