千景はハッとなって驚いていた。だが嫌がる素振りは見せず、素直にクリュゼを唇に挟み、頬を真っ赤にさせながら顔を近づけてきた。再びクリュゼがオレの口内へと入ると、唇が触れ合った。

　これをキスとは言い難いほどの軽いものだが、それでも千景にとっては相当恥ずかしいようだ。今まで数えきれないほど、濃厚なキスをしてきているのだが、恥ずかしがる様子は毎度可愛い。そして最後のクリュゼを口にした時、突然下へと落ちた。

「あっ」

　気付いた千景が短く叫んだが、すぐにオレは彼女の唇を塞ぐ。

「んぅっ」

　突然の行為に千景の気が動揺しているのがわかる。そもそも最後のクリュゼはオレがわざと落としたのだ。勿論、千景の唇を奪う為だ。クリュゼを挟んで唇を近づけられる度に求められているようで、我慢が出来なくなった。

　普段からオレは色々な面で理性の自制をしてきているが、つい千景に対しての情欲だけはたがが外れてしまう。触れてしまえば理性など失われる。本能の赴くまま行動へと出てしまうのだ。

「ん、ふぅぁ……」

　千景の口内で丁寧に舌を回していると、彼女から甘い吐息が洩れ始める。感じているのがわかったオレは舌の動きを速め、千景の舌を追い立てる。オレの動きについていけなくなった千景の舌は動きが拙くなっていく。

　彼女の吐息が荒くなり、苦しいのか唇から離れようとした瞬間、オレは彼女の後頭部と腕を押さえ、逃れないように押さえつけた。すると、千景の口元から切な気な吐息が幾度も零れ落ちる。

「んんっ、ん……んぅ」

　舌だけではなく躯全体を拘束され、行き場を無くした千景はオレの口づけの責めを受けるしかなくなった。そして逃れる事が敵わぬと諦めたのか、オレの舌に応えようと拙い舌を懸命に回すようになった。

　その内に互いの唾液が混ざる音が洩れ、千景の口元から唾液が滴る。オレはそれを吸い込み、再び千景の口内を蹂躙する。彼女の瞳が潤んで、完全に躯の力が抜けるのを感じ取ると、ここで唇を解放させた。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

　千景は懸命に息を整えている。ふと視線が合わせると、彼女は熱が孕んだ表情をさせていた。オレの理性は完全に吹き飛び、気が付けば彼女の夜着の胸元を下へとずらしていた。

「え？　な、なにするの！？」

　露わになった二つの双丘の先端に目線を落とす。

「千景が一番美味い果実を隠しているからさ。勿体ぶんないで食わせてもらおうと思って」
「やぁ！　これは果実じゃないじゃん！」

　オレを押し退けようとする千景の手を上へと引っ張り上げる。そして、もう片方の手で千景の二つの実を寄せて口に含んだ。

「ふぁああ」

　千景の躯にグッと力が入り、強張っているのが伝わってくる。構わずオレは口に含んだ二つの実に甘噛みを繰り返していた。

「や、やぁん」
「おかしいな。口の中で溶けない」
「溶け……る……わけ……ない……じゃん」
「じゃぁ、こうしたらどうかな？」
「ふあんっ、やんっ」

　突起を口に含んだまま押し潰すように舌でネットリと回す。

「やんっ、ダ、ダメ……だって」

　千景の躯がビクビクッと反応を表す。快楽に襲われ戸惑っているようだった。

「なぁ、硬く勃ってきたのなんで？　これじゃ、益々喉に通せなくなったな。元の柔らかさに戻さないと」
「え？　……あぁんっ、やぅっ」

　突起をチゥーと音を立てて引っ張り上げる。千景が最も大きな反応を見せる責め方だ。突起は形を強調するかのように、ツンと勃ち上がっていた。

「やぁ……そん……な事……して……も、元に……戻らないよぉ」
「ヤバイ。余計に硬くなったな。どうしたらいいんだろ？」
「もう……ダメ。触れちゃダメなのぉ」

　千景は泣き出すかのように目頭を熱くして訴える。そんな表情をされて止められるわけない。もっと責めてやりたいと狩る雄の欲に煽りを立てているだけだ。

「そっか、仕方ないな。じゃぁさ、さっきから溢れている蜜も捨て難いだよな。口にしていい？」
「なに？　なに言って？　ふぁあんっ」

　千景の蜜口に指を沈めると、既にクチュクチュと音が鳴っていた。

「聞こえるだろ？　この蜜の溢れ出す音。食欲を掻き立てるんだよな。食わせろよ」
「そこ……はダメー」

　千景はダメと言ったものの、明らかに期待を含んだ表情をしている。オレは千景のショーツを手際良く脱がせた。

「そっか残念だな。ダメだと言われたから諦めるか」

　千景のツンデレを利用し、オレはわざとらしく願いを引き下げる様子を見せる。いつもであれば責め上げて、彼女を快楽へと溺れさせるのだが。千景の表情から少しばかり切なさが現れた。

　さっきの濃厚な口づけと胸の愛撫で彼女の躯が疼いているのはわかっていた。だが、それはオレも同じ状態だ。今回ばかりは己の欲望を優先にと、オレは千景に優しく微笑みかける。欲を含んだいわくありげな笑みだ。

「そういえば千景の腹は物足りないだろ？　今日はしっかり食べてなかったもんな」
「ふぇ？」
「満たしてやらんと」
「え？　……え？　……やぁんっ」

　千景は露骨にオレから視線を外した。正確にはオレの雄の一物からだ。

「もうお腹いっぱいなのぉ！　こんな所でやらないでよ！」
「挿れないって」
「え？」

　わざと見せつけたのは最後に行こうと思ったからじゃない。挿れるのはじっくりと焦らせて、千景の疼きを頂点にしてからだ。千景は目を見張ってオレを見つめ返している。それもとんだ赤面となってだ。どうやらオレの言いたい事がわかったようだな。

「遠慮するなって。好きなだけ食っていいからさ」
「やぁ……ん」

　千景は席を立ち上がり、この場から去ろうとしたが、せっかく捕まえた獲物を逃してたまるかとオレは彼女の腕を引っ張り、そのまま引き寄ると彼女の耳元に甘い声を出して囁く。

「上の口でオレのモノを満足させてくれたら、今度は下の口の疼きを沈めてやるって」
「あ、あ、あん、やんっ、はんっ」

　誘惑するように千景の秘所を擦り上げると、彼女は躯をくねらせて反応を見せる。ほんの軽い行為だ。千景の疼きは増していく一方だろう。どんどん疼かせておいて、最後一気にイカせる。互いに気持ち良いエクスタシーでいくには躯も感情も高揚させておく必要がある。

「満たしたくないの？」
「うぅ」

　オレに催促された千景は暫し考える様子を見せたが、ゆっくりとした動作で椅子から下りると、オレの脚と脚の間へと躯を入り込ませた。そして真っ赤にした顔をオレの屹立した雄へと近づける。

　恐る恐ると一物を手で握ると、口を開いて舌を見せた。雄の先端を中心に舌全体でチロチロと舐める。しっかりと唾液も含ませながら、左右または舌を回し小枝をきかせる。先端付近の舐めに慣れると、亀頭と竿の境や裏筋も丁寧に舌で刺激を与えてくれる。

「はぁ……」

　快楽が躯中に駆け巡っていき、オレは少しずつ息が乱れ始める。千景は時折オレの反応を上目使いで確認している。オレの反応が高いところを見つけると、舌を大きく回す。

「……気持ちいい？」

　一度オレの雄を離した千景は甘えたような声で訊いてきた。その間もしっかりと手を上下に動かし竿を擦っていた。

「あぁ」

　オレは答えると千景の頭を優しく撫でた。彼女はさらに顔を真っ赤にしながらも、再び一物を口内へと含んだ。口内で舐め回し、手で竿も上下に擦る。また竿を下からゆっくりと舐め上げたり、色々工夫を繰り返す。

「はぁはぁ……」

　さらにオレの息が乱れる。オレの表情で感度を確認した千景は一物を半分ほど口に沈め、上下に動かし始めた。ヤバイ、また上達したな。もってかれそうだ。気が付くと水音が漏れるほどまで潤いが増していた。

「ん、んぅ……んん」
「はぁはぁはぁ」

　懸命にしごく千景の声とオレの吐息が混ざり合い、室内へと響いていた。互いに興奮が高まっていく。

「千景……そろそろ……出そうだから……離れろ」

　その言葉に千景は口元を離すが、手はしごいたままだった。

「イキそう？　いいよ、イッて？」

　動かす手をここぞとばかりに速めてきた。本気でヤバイ！　と、思った瞬間。

「くっ……」

　ドバッと亀頭から大量に射精された。しごいていた千景の手にもベットリと精液で湿っていた。

「うわっ、いっぱい出た！」

　千景はベットリついた事には気にもせず、オレの射精の量に喜んでいた。

「はぁはぁ……」
「そんなに気持ち良かった？」

　いつもならオレが言うセリフを千景が言ったぞ。ニンマリとした表情をして実に嬉しそうだ。

「あぁ、気持ち良かったよ」
「へへっ」

　オレが素直に気持ちを伝えると、千景は笑みを深めた。そして立ち上がってオレを見下ろす。

「お料理が温かい内に食べようよ。せっかくシェフさん達が作ってくれたんだもん。残したらシェフさんが悲しんじゃう」

　オレとの行為より食い気か？　と、突っ込みを入れそうになったが、多分千景はオレをイカせた事で十分に満足しているのだろう。

「そうだな。食おうか」

　オレも笑顔で返した。そして……。

「えっ……ふぁああん！」

　千景を引き寄せる。そして彼女の脚を左右大きく開かせ、秘所へ一物を押し上げた。

---