番外編⑩「甘い蜜夜は永遠ですか?」




「んあぁぁん!」

 キールの腰が私の秘所を目掛けて突き上げる。上半身が起き上がり、再び私はキールの胸に手をついて、快楽に堪えていた。串刺し状態で身動きが取れず、何度も何度も躯が跳ね上げる。

「あんっ、あんっ、あぁぁんっはんっやんっ!」
「気持ちいい?」
「気持ち……いい……のぉ」

 愛おしむような甘い声で問われて、躯の疼きが増す。突き上げられる度にグヂュリ、ヌチュリ! とエッチな音が漏れ、私は快楽に没頭して甘美な声を上げ続けていた。これだけで十分な刺激だと言うのに、突然にガシッと両胸を掴まれ、

「え? やぁん!」

 乱暴に揉みしだかれる。中央へと寄せ擦り合わせられたり、突起を摘みながら激しく回されたりして、目眩に襲われたように意識が朦朧としていく。

「そんなに……どっちも……激しくしないでぇー」
「無理、止まらない」

 さっき、私がキールを追い詰めた時と同じ言葉を言われてしまった。キールの表情には余裕が見える。私の時は素で言ったのに。

「はぁぁん! やぁぁん、らめっ! らめなのぉー!」

 舌足らずになるぐらい甘えた声を出すと、キールを余計に刺激させてしまったのか、動きがさらに加速していく。私の中でキールの熱塊は大きく蠢いて責め上げる。

「あん、あぁぁん! やん! もうっ、やぁぁん!」

 それから胸を揉みしだいていた一方の手が行為を止めて離れた。その手は私の秘所へと滑り落ち、花芯を弄り始める。

「やぁぁん! ……もう……これ……以上……は無理だよぉ!」

 私は顔を左右に振り、胸と花芯を弄っているキールの手を掴んで止めにかかる。だけど、その手も快楽に負けてしまい、力が抜けてしまった。その私の様子をキールはここぞとばかりに責め上げる。

「いやぁぁ、あん、あんっ、あぁぁん!」

 秘所がヒクヒクと痙攣を起こすのを感じ、達しようとしているのがわかった。

「もうダメェー!!」

 その瞬間!

「え? ……えぇ?」

 小刻みに揺れる自分の躯が徐々に鎮まっていく様子に、飛びかけた意識が戻ってきた。

「はぁはぁはぁはぁはぁ」

 私は乱れた呼吸を整えていたけど、あまりの驚愕に言葉を失っていた。だってイク寸前で止められるんだもん! これはキールの大好きな意地悪なのだ!

「し、信じられない! バカバカァ!」

 私は涙を滲ませ、キールの胸をポカポカする。下肢は疼きっぱなしのせいか、白濁とした蜜が滴れていた。私はもどかしさのあまり、円を描くようにして腰をグラインドさせる。キールの恥骨をグリグリと押しつけるようにして回していると、花芯が擦れて快楽が蘇る。

「あん、はん、あぁん、やぁん!」

 そんな健気な私の姿を目にしているのに、キールは冷たい表情をしていた。

「勝手に気持ちがるなよ」
「だってぇ……」
「素直に気持ちを吐けよ」

 命令口調で私の気持ちを引き出そうとする。

「んんぅ……ちゃんと……してよぉ」

 潤んだ瞳をして、私はか細い声で訴える。もう躯中が疼いて疼いて仕方なかった。

「どうして欲しいのかちゃんと言えって」
「もっと突いて! たくさん突いてめちゃくちゃにしてよぉ!」

 私は爆発したように気持ちを吐き出した! すると……。

「んぁああん!」

 キールにお尻を引かれ、ガンガンに下から突き上げられる。

「あぁぁん! あん、あん、あん、あぁぁん!」

 さっきとは比べ物にならないぐらい激しく揺さぶられ、快楽の荒波に呑まれる。さっきまではキールなりに抑えていたんだと思い知った。

 キールの腰の動きは上下だけではなく、前後や楕円を描くようにグラインドもされ、そのとんでもない刺激に私は堪えられなくなって、キールから離れようとしたが支えられている手の拘束が強まった。

「はん! あんあん、あぁぁん、らめなのぉ!」
「なにがダメなんだよ?」
「こ……われちゃうー!」
「望み通り、めちゃくちゃにやってるだろ? さっきからギュゥギュゥにオレの絞り取ろうとしている下の口みたいに素直になれよ」
「やぁああ!」

 どうしてこう恥ずかしい事ばっかり言って、辱めようとするんだろう? 私は激しい動きと快楽にらえ、受けるだけで精一杯でいるというのに。

「千景も相反した動きをして」
「え?あぁんっ!」

 さらに要求まで出された。キールが上下なら私は下上、前後なら後前といった相反した動きをする事によって、より強い摩擦が起こり、意識がぶっ飛ぶような快感に襲われる。

「はぁぁん、やんっ! んんぅ、あんあん、ああぁん!」
「はぁはぁはぁはぁ……」

 私の喘ぎ声とキールの乱れた息遣いが部屋中へと響き、水音はいつの間にかパンパンッと打ち突ける音に変わり、ニ人の情液が滴る。乱舞する両胸の姿は動きの激しさを表していた。理性も我も忘れて快楽にされるがまま身を委ねた。

「あぁぁん、あんあん! やぁぁん、はぁぁん! もう……らめっ! イクよぉお!」
「……うっ!」

 ヒクヒクッと秘所に痙攣が起こり、再び達するとわかった私は叫んだ。キールからも絞り出すような声が洩れたと同時に、ドバッと私の中へと熱い飛沫しぶきが吐精された!

「ふあぁあっ」

 私は1度イッた時と同じように、クテッとなった躯をキールへ預けた。片耳がキールの胸元に付くと、彼の心臓がバクバクといっているのが伝わってくる。私の心臓も同じぐらいバクバクだった。それだけ激しかったって事だもんね。

 ――いやぁ~、もう恥ずかしいんだって!

 急に胸元で顔を埋める私の頭をキールは優しく撫で始めた。

「一緒にイケたな」

 キールから声を掛けられて、私は顔を上げる。

「そ、そうだね」

 ニコッて笑うキールと目が合うと、余計に恥ずかしさが深まって視線を逸らす。すると、キールは繋がっている結合部を微動させる。

「あん、はぁん! きょ、今日は……もう……ム……リ……なのぉ」

 本当にこれ以上したら、気絶しちゃうよぉ。

「じゃぁ、離すの?」

 そう言いながらもキールは動きを速める。快楽に酔わせてまた私を誘う気なんだ。

「ん……だってもう中がグヂュグヂュなのぉ」

 情液がニ回も混ざり合ったから、もう私の中はグヂュグヂュだ。離したらいつもみたいに愛の証が凄いんだろうな。私の言葉にキールは繋がったまま上体を起こす。私の躯も一緒に上がって、そのまま向い合せの体勢となった。

「どうしたの?」
「この際だから上の口もグヂュグヂュにしてやるよ」
「んんぅ……んっ、んっ、んぁ!」

 いきなり猛烈なチュー攻撃が始まった。キールの舌が纏わり絡んで、私の口内を蹂躙する。

「んんぅ! ふっ、ぁ……んあ!」

 迫る息苦しさに最初は舌を上手く回せなかったけど、徐々に感じるようになると、積極的に自分から舌を出して絡もうとする。

「ん……んぁ……んっ、んんぅ」

 私から鼻にかかった艶声が零れると、キールはより口を開けて舌を絡み出す。時折、口外へ舌を出し合って絡めたり、混ざり合う唾液の音を漏らしながら、吸い付き合ったりと濃厚な口づけを繰り返す。

 その内に下肢が大きく疼き出したと思ったら、そのタイミングでキールから腰を揺らされ、全身が蕩けるような快楽が回った。堪らない気持ち良さに躯をそのままキールへ委ねた……までは至福のひと時ではあった。

 が、再びスイッチが入ってしまったキールを止めるなど、誰が出来よう! 案の上、契りの夜如く再び数回のプレイが繰り返され、気が付いた時にはお天道様が迎えに来てくれていたのだった……。

☆*:.。. .。.:*☆☆*:.。. .。.:*☆

「それで~キールったらね~❤」

 日課のシャルトとの勉強会だったが、私は昨夜のキールと仲直りした事をシャルトに伝え、合間にキールとの話を聞いてもらおうとしていた。しかしだ……。

「次の問いはシーンによって正しい尊敬語と謙譲語が使い分けられるかのテストよ。複数人と話をする場合、誰に尊敬語を使い、誰に謙譲語を使うのか、ごちゃ混ぜにならないようにする重要な問題だから頑張りなさいよ」
「重要なのはわかったけど、“許してくれる”って切なる表情をした弱い姿のキールもレアでね……」
「千景、早く言われた通りの事をなさい!」
「ちょっと話真面目に聞いてよね! この後の話が超重要なんじゃん!」

 さっきからあんまりにもシャルトが話を聞かないもんだから、私も意固地となってきた!

「蕩けるような愛を受けつつ、“愛している千景 ”って、言葉でも何度も伝えてくれちゃうから、本当に溶けちゃうんじゃないかって思っちゃった! 勿論、私も同じ量の愛を返すと、キールはちゃんと答えてくれるんだよ! それでね……」
「や、やめてよ! 術力で人の心読まないでよね!」

 シャルトってば、これから私が言おうと思っていた言葉を先走って言いよったよ! なんてヤツだ!

「アンタの雑念なんて読むか! 毎度毎度おんなじセリフを吐かれれば、嫌でも覚えるっての! ほんっとキールも、どうしてこんなおバカなコを選んだのかしらね!」
「ッカー! 私はおバカではございません! フ――――――ンだ!!」





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