番外編⑩「濃密な夜をお過ごし下さい」
触れられたい気持ちは重々にございますが、もみくちゃに愛されるのではないかと思うと、私は反射的に蹲ってしまった。
「千景は後ろからの方がいいか。締め付けいいもんな」
「!?」
オーノォー! ちゃうねん、ちゃうねん! 迫って欲しいんじゃなくて、身を守っておるのだよ! が、興奮状態のキールは当然知る由もなく、
「うわっ!」
私をバンザ~イの格好にさせて、寝巻までも器用に脱がしてしまった。
「ちょっ、キール、待っ」
私が止める隙も与えず、さらにオパンツまで脱がされてしまい!?
「や、やぁっ」
私の背後へと回ったキールから躯を横たえられ、さらに片足を上げられて秘所を丸見えにされてしまう! 私の心臓はバクバクと爆音を上げ、顔は熟れたリンゴのように真っ赤になって抵抗を見せた。
「ちょ、ちょっと」
予測通り、キールは前戯なしに熱塊を秘所に宛がってきた。
「いきなりなんて無理だよぉ! ……んぁああっ!」
まだ秘所が濡れ切っていないのに、無理やり挿れられたら痛い……と思っていたのだが……。
「んぁあん、あんっ」
難なく奥まで受け入れてしまった。
――う、嘘!?
私が驚いている間にも両脇からキールの腕が入り、両胸を鷲掴みにされたと思ったら、両突起それぞれを指に挟まれてコリコリと摘み回される。
「やん! や、やめてぇー」
下からガンガンに攻められているのに、胸まで弄られたら気持ち良さに溶けちゃうよぉ。まだ戸惑いを見せる私に、キールは後ろから私の耳元へ向かって甘い声で囁く。
「前戯なしでもオレのを受け入れられるぐらい、オマエの中はトロトロだな? どんだけエロイんだよ?」
う~こんな甘々な声で乱れた息遣いされて、しかもエッチな言葉責めをされたら、もう躯中の疼きが止まらなくなっちゃうよぉ。
「ち、違う……もん! ちょっと……久ぶり……だったから……濡れやすく……なってただけだ……やぁぁん」
否定した私への懲らしめなのか、キールは打ち突ける腰の速度をグンと上げてきた。
「あぁぁん! やん! やめて……って……言って……いるのにぃ、んああん!」
いつの間にか秘所からグヂュグヂュと水音が響くと、弄られている指が頂を摘むだけでなく、擦りつけるように回したり、引っ張り上げたりと、厭らしい動きを見せるようになった。その動きは丸見えで、恥ずかしさのあまり私は顔を朱色に滲ませた。
「あん、あんっ……んぁぁん、はん……あぁぁん、ひゃん、あんあん!」
再び腿の裏にキールの手が回って片足を上げられると、さらに打ち突く速度が上がる。
「んあぁぁん! ダ、ダメ! それ……以上……され……たらぁぁあん! イッちゃうよぉっ!」
「はぁはぁはぁっ」
後ろからさっきよりも激しく乱れたキールの呼気に、お互いが感じ合っているんだと実感した私はゾクゾクッと躯中に痺れが駆け巡り、
「ふあぁんっ」
気が付いた時にはエクスタシーへと達し、グッタリと力が抜けて横たわってしまっていた。そしてグチュリという音と共にキールの熱塊が離れる。
「「はぁはぁはぁ……」」
お互いが懸命に酸素を求め息を整える。やや経って、
「オマエ、イクの早くない?」
キールから指摘されてしまい、再びカァーと躯中に熱が集約する。
「だ、だってぇ」
「久々で興奮したんだ?」
「やだぁ、刺激してこないでよぉ」
心をすっかり見抜かれてしまって、私は羞恥の色に染まり、キールから視線を逸らして蹲った。
「可愛いなぁ、千景は素直で」
な、なんと! 滅多に言われないレアな言葉を言われたぞ! 私はキュンと胸が高鳴り、キールの方に顔を向ける。
「これからもっと可愛がろうと思っていたのに、先にイカれたからな。今度はオレもイカせてよ」
「え?」
キールの表情が妙に色気づいて欲情しているのがわかった。
「千景、上になって?」
「え?」
私は目を丸くしてキールを見つめる。う、上ってもしや! 戸惑っている間にも、キールから顔を近づけられ……。
「やって? 千景の中で満たしてよ」
そんな強請るような熱っぽい顔をして言われたら、戸惑いが失われるよ。私は操られたように上体を起こした。今度はキールが仰向けになる。屹立した熱塊が際立ち、私はシュボボ~と沸騰したヤカン状態となって、躯中が真っ赤に染まっていくのがわかった。
それから私は仰向けになっているキールの躯の上に両足を開いて跨る。もうこの時点で秘所を大ぴらにしていて、とてつもなく恥ずかしい! 躊躇いながらも熱塊を手に持ち、心臓をドキドキさせながら、恐る恐る腰を落とす。
「うぅ~、は、恥ずかしいよぉ」
私は瞳を潤わせ、恥ずかしさを訴えるのだけれど、
「すげー濡れてヒクついてんな」
「やぁあ! 恥ずかしい事を言わないでよぉ」
キールは下から優雅に私の羞恥心を煽ってくる。
「自分も欲しがってんじゃん?」
「は、恥ずかしくて嫌なんだからぁ」
「本当に嫌かどうかはその下の口に答えてもらうぞ」
「もうやぁっ」
煽られながら、私はゆっくりゆっくりと腰を落としていくと、キールの熱塊の先端が秘裂へと当たった。
「あんっ」
さっき一度イッたばかりだから、躯が敏感に反応していた。亀頭が花芯にも滑り、再び甘い声が洩れる。そして亀頭が花びらを割って奥へ奥へと沈んでいくにつれて、快楽の波が渦巻き、私の喘ぎ声が止まらなくなる。
「やん! あん、あん、あぁぁん!」
余裕がなくなって、きつく目を閉じていたら、
「千景、しっかり見て挿れろって」
「あん、な、なんでぇ?」
「もう一度挿れ直せって」
「やぁん」
せっかく頑張って奥まで挿れたのにダメを押しされて、無理に結合部から熱塊を離される。
「ほら、もう一度」
「やだぁっ」
口では嫌々言っても躯はキールを求めている。私は言われた通り、もう一度脚を広げ、腰を下ろしていく。今度はちゃんと目を開きながら。
「んぁ!」
再び秘裂に亀頭を宛がう。顔から火が出そうなほど恥ずかしかったけど、お預けされたのもあって、今度は勢い良く奥まで沈められた。花びらを割る瞬間にグチュリと厭らしい水音が漏れ、生々しく結合する瞬間を目にして、私の高揚は一気に高まった。
「ふぁん、あん、あぁん」
私はキールの下腹に手をつき、自分から腰を揺らしていた。気持ち良すぎて頭の中は完全に蕩け切っていた。もっともっとと快楽を求めて腰を上下前後へと動かす。
「あん、あん、あん、あぁぁん! 気持ちいいのぉ」
「くっ、オマエ……腰の動きヤラシすぎ。あんま……締めるなって」
「無理だよぉ! 止まら……ない……もん!」
止めようとする理性よりも、快楽の方が勝って動きを止める事が出来なかった。それに明らかに気持ちがっている様子のキールを目の前にして、動きを緩められなかった。私はもう無我夢中で腰を揺らす。
「あぁぁん、いやぁぁ、あん、あん、あん、あぁぁん」
グヂュグヂュヌチュヌチュと情液が混ざり合う音が性欲を淫らに煽り、高みに昇らせる。
「くっ、イクッ」
零したキールの言葉に私はラストスパートと言わんばかりに、敏捷な動きを見せた。
「ふあぁああ!」
刹那、キールの中から熱い飛沫が勢い良く吐精された。
「あん、はん、はぁ、あんっ」
「はぁはぁはぁはぁ」
快楽の残滓に浸り、鼻にかかったような甘い声が自然に洩れる。キールは恍惚な表情をしているから、満たされのだとわかった。私は一仕事を終えたような脱落感に襲われて、キールの胸へ躯を預けた。
すると優しく髪を撫でられる。その手がとても心地好くて、フワフワとした温かい愛情を感じた。私、何気に頭を撫でられるの好きなんだよね。それだけで幸せな気分になれるもの。
「はぁ……オマエ、腰使いエロイな」
「や、やめてよっ。夢中でしてたんだから、知らないっての」
「へー、夢中になってたんだ。やっぱエロイな」
「やめてってば! 私はエッチではありませんから! フンだ!」
全くエッチし終えた後にまで言葉責めするなんてさ! このドSサディストめ! 頬を膨らませてプンスカしていると、キールは軽く笑って眺めていた。フンだ! 今日はいつも以上に頑張ったんだからね!
「千景、すげー気持ち良かったよ」
「え?」
キールは満足げに笑みを深めた。超ハズかったけど、頑張った甲斐があったな。頑張り過ぎて眠くなってきた。私はこのままキールの上で安眠に入ろうと思っていた……のだが。
「頑張ったオマエに褒美をやらんとな」
「ふぇ?」
一瞬なにを意味するのかわからず、ポカンとしていたら、
「ふぁああっ」
下肢から大きな刺激が生じた! キールが下から突き上げてきたのだ。そ、そういえば私達はまだ繋がったままだ。
「今度はオレが頑張るよ」
艶めかしい表情をして微笑むキールに私は……。
――ひょぇええ!!