第九十四話「契りの始まり」
「不安にさせて悪かったよ。オマエに逢えて喜んでないわけないだろう? 淋しさを紛らわすのに、仕事に専念するしかなかったし、忙しすぎて他の女に構っている暇なんてなかったよ」
キールから真摯な眼差しを向けられ、彼の言葉に偽りのない事を確信する。
「それに抑えるのに必死だったんだよ」
「え?」
「三月もオマエに手を出せなかった分、気持ちが爆発しそうで。触れたら理性をコントロール出来る自信がなくてさ」
「!」
な、なんとキールは理性と闘ってくれていたのか! 私はその言葉を聞いて無性に恥ずかしくなってきた。私ってば早まり過ぎたかな。今のキールの状態だと無駄に激しくされそうだし、もう少し気持ちが落ち着いた時の方がいいよね。
「でもオマエに煽られて、もう抑えるのをやめるよ」
――へ?
キールは艶を帯びた表情をして、私へと手を伸ばしてくる。
――って、もう遅かったぁ!
あっしの寝巻の裾が上げられてしまう。すぐにオパンツが見えて、たわわな胸も露わになった。
「!?」
既にキールには何回も素肌を見られているけど、久々のせいか、すんごっく恥ずかしく思えて、
「ま、待って!」
私は顔を真っ赤にして抵抗してしまう。キールはそのまま私の寝巻を脱ぎ取ろうとしていたから、私は反射的に背を向けて、うつ伏せの体勢になった。キールの気を悪くしてしまったかなって思って、顔だけ振り返ってみると、彼は前屈みになって私の背中へと口づけていた。
「ひゃぁ!」
躯が反応してビクンッと跳ね上がる。口づけは背中を伝って徐々に下がっていき、さらにお尻をガシッて掴まれた後、そこにも深く口づけられた。
「うわ!」
お、お尻まで! 妙な反応をしたせいか、フニャフニャとお尻を揉まれて(キールは私のソフティなお尻を好んでいるようだ!)さらに割れ目を思いっきり開こうとしてきた。
「!!」
なにをするのか察した私は片膝を立てて振り返る。
「ま、待って」
キールは止めようとする私の声を気にもせずに、私のもう一つの膝を立てて、お尻の割れ目を思いっきし開く。
「あ! や、やだ!」
右手で行為を止めようとしたら、その手はキールの手の指と絡まって行為は進んでしまう。
「ふあぁっ」
舌が割れ目の中に差し入れられ、ビクンッと躯が大きく弾けた。強い刺激に力が抜け落ちて、私は顔を隠すようにベッドへと蹲った。ショーツの上からなのに、ジンジンと痺れるような快感が駆け巡る。
「ひゃん! んあ!」
舌は上下律動的に回り、次第にショーツが湿っていくのがわかった。
「やぁぁん、やめてよぉ……」
声は嫌がっているものの、躯は抵抗しようとしなかった。
「やめてって言えば、さらにされるのわかって言ってんでしょ?」
「ち、違うよ!」
な、なにを言い出すんだ。キールは!
「悪いけど、三月以上もぶち込むの我慢してきたんだから、やめてって言われても止(や)める気しないから」
「そ、そうだけど……でも……ひゃっ、あぁぁん」
いきなり舌は楕円を描くように舐め回る。
「なぁ、言いたい事あるでしょ?」
「んんぅ、な……んの……事?」
「ほらっ」
「いやぁああん」
何度も何度も舌が舐め回って秘所が泥濘んでいく。でもショーツの上からだと物足りなさを感じていて、それにキールが気付いてしまったのか扇いでくるのだ。
「ちゃんと言わないとやめるぞ」
「やあだぁ」
「じゃぁ、ちゃんと言えって」
「うぅ、ちゃ、ちゃんと直に入れて」
言い終えた私は完全に顔が朱色に染まり、シーツに顔を埋め込んだ。キールは私のショーツをずらし、お尻を露出させる。脚に中途半端に掛かっているショーツが厭らしく見えて、私は固く目を瞑った。それから舌が直に侵入してきた。
「あぁぁん」
ビリビリッとした甘やかな衝撃に、キールと握っていた手がスルリと離れてしまう。両手が自由になったキールはさらに私のお尻の割れ目を開いて、舌を入れ易くした。より深く秘所の中へと潜り、私の躯はビクンビクンッと跳ね上がる。
「やだぁん」
舌はありとあらゆる動きをして、秘所を責めていた。わざとヌチュリクチュリと音も洩らされ、羞恥を抱かせる。
「ふぁん、はあん、やぁぁん、あんあん!」
快楽がより募り口元から甲高い声が上がる。そんな中、スッと唇が離れた。
「?」
キールは優しく私の体勢を起こして尻もちをつかせた。それから寝巻の全部を脱がされ、最後にショーツまで脱ぎ取られてしまった。
「や、やだぁ」
私は熟した苺のように顔が赤くして、手で口元を押さえる。足首にショーツが掛かったまま、キールに両膝を左右に開かれてしまう。
「え?」
秘所が晒し出されて反射的に脚を閉じようとすると、ガッてキールの右手が侵入してきた。
「やんっ」
手は容赦なく私の秘所を襲う。そして私の右側に周り込んだキールは右胸の乳輪の周りを嬲り始める。
「ふぁあんっ」
突起を口に含み、その間もキールの指のニ本が秘所の奥を突き始めていた。
「あん、ふぁぁ! やん、あぁぁん!
堪らなくく気持ちいい。興奮が高まり躯の奥から熱が集まって、表情が恍惚に潤う。
「奥突かれるのと、ここ弄られるのどっちが気持ちいい?」
突起から唇を離したキールは花びらの奥と花芯のどちらが良いか訊いてきた。
「わ、わかんないよぉ、あん! はぁぁん、やぁぁん!」
どっちも気持ち良かった。そんな事、恥ずかしすぎて素直に言えないよ。
「欲張りだな。どっちもかよ」
「答えて……な……いじゃんっ、うぁぁん」
指は花びらの奥と花芯を同時に責め始める。指が行き来する度に、グチュリヌチュリと羞恥を煽る淫靡な音が洩れる。
「どっちも……は……ダメだよぉん! はあん、やぁぁんっ」
「ダメって言ってるわりには、しっかり奥まで咥え込むな。なぁ、ちゃんと見てろよ」
「やだぁん」
またしてもキールは私の羞恥心を煽ぎ立てようとしているから、逆に顔を背けてしまう。
「オマエ、見ている方が気持ちを良さそうじゃん」
「見て……なくて……も……気持ち……いいよぉ、んぁぁん」
「ちゃんと見ろって。じゃなきゃ、やめるぞ」
「なん……で、意地悪……ばっか言……うのぉ?」
私は目尻に涙を溜めて訴える。
「ちゃんと見れば、もっと気持ち良くしてやるって」