第二十七話「晴れた先に与えられる快楽」




「なに?」

 急に私が真剣な表情で見上げてきたのを目にしたキールはスルッと指を離してくれた。私は心に引っ掛かっていた事柄を吐露する。

「あのさ、大事な役目とはいえ、シャルトさんに申し訳なくて」
「シャルト?」

 キールは眉を顰めて首を傾げる。

「だって一緒に湯浴みに入る仲じゃん?」
「まぁ、オレが生まれた時からアイツはいるしな」

 そんなに長い付き合いか。そりゃ今日来たばかりの私がしゃしゃり出てきたら、シャルトさんは釈然としないよね。自分の恋人が他の女性ひととエッチするなんて、とんでもなく辛いって。私だったら堪えられないよ。

「いくら大事な契りとはいえ、やっぱり悪いなって思ってさ」
「は?」

 さらにキールは眉間に深く皺を刻んでいたが、私はお構いなく言葉を続ける。

「だからシャルトさんに!」
「なんでシャルト?」
「だってラブラブなんでしょ、彼女と?」
「はぁ? オレあっちの趣味ないし?」
「どっちの趣味?」
「それにアイツ、彼女じゃないし?」
「え、彼女じゃないの?」

 でも一緒にお風呂には入るんだよね? それとそっちの趣味ってどういう意味だ?

「なんか腑に落ちない顔してんな?」
「だって彼女じゃないのに、一緒に湯浴みに入るってさ、変じゃん? それともこっちの世界では当たり前だったりするの?」
「あー、オマエさっきから、なに言ってんのかわからなかったけど、ようやく意味がわかったよ」

 清々しい表情をするキールとは反対に、私は悩まし気に顔を歪ませていた。

「なにが?」
「……言うのが面倒。それに言わない方が面白そうだし」
「なんだよ、それ! 人が真剣に訊いてんだぞ!」

 私はキールに食って掛かった。人が真面目に訊いているのに面倒とか、面白そうとか、なに考えてんだよ! 女心をバカにしているのか!

「シャルトとはなにもない」
「でも一緒に湯浴みに入る仲じゃん!?」
「やたらそこにこだわるな、オマエ」
「こだわるよ!」
「シャルトに妬いてんの?」
「誰が妬くかよ!」

 またなにを言い出すか、コヤツは!

「じゃぁ、なんでもないって言ってんだから、いいだろ?」
「なんだ、その無理やり感!」
「シャルトにも訊いてみろよ、オレとの関係」

 そう言うキールはめちゃめちゃ辟易した顔をして言い放った。ムゥー、いけしゃあしゃあと答えているところをみると、本当になにもないのかなぁ? お風呂もこっちの世界では男女入るのが普通なの? 私が渋い顔をしながら、複雑に思考を交差していると……。

「もう解決した?」
「解決って?」

 キールの言葉に「?」が浮かぶ。

「心に抱えている問題」
「あ、うん。一応……ないかな?」

 そういう意味か。私がサラリと答えると、

「そう、じゃぁ……」
「え? ちょ、ちょっとっ、ひゃぁあんっ」

 再びキールの指が私の秘所を襲う。体育座りから強制的に腿のラインを開かされてしまい、私は咄嗟にキールの手を払い退けて脚を閉じようとした。

「なんで今更抵抗?」
「変態! 鬼畜! このエロエロ魔人!!」

 また触られると思うと恥ずかしくて、私の躯は反射的に抵抗しようとしていた。

「じゃぁ、その言葉にちなんで」
「え?」
「変態で……」
「やあっ!」

 キールの指が花芯を押し潰すように激しく捏ねくり回る。

「鬼畜で……」
「やっだぁ、激……しいの……ダ……メェー!」

 引っ張り上げるように摘まれてクリクリと転がされたかと思えば、また指の腹でグルリと撫で回され、花芯が充血してくるのがわかった。それから強く弾かれてしまう。

「ひゃあんっ!」

 ブワッと蜜が溢れ出てきた。その蜜をキールはネットリと花芯に絡み纏わせ、より刺激を深めてくる。

「あぁん! もうやだぁ、やめてよぉ」
「エロエロ魔人だからめられない」

 キールは私の言葉に根を持っているのか、言葉通り忠実に事を進めようと弄んでいた。

「あん、あん、あぁん……やん、はあぁん」

 真っ裸でこんな甘ったるい声を出して、瞳も恍惚に潤って、逆上のぼせそうなほどの熱に包まれて、もう頭がパンクしそうだ!

「そんなにエロい声出して気持ちいいんだ?」

 キールは嬉しそうに優雅な様子で問う。

「ち、違う……もんっ」

 認めたくなくて、つい本当の気持ちとは裏腹の事を口走ってしまうと、より蹂躙されていく。

「ちょっ、ちょっ……と、指……奥に……入れないでよぉ」

 指が花びらを広げ、厭らしい動きをしながら沈んでいくのを感じると、無意識に力が入った。

「イイ感じに解れてきてんだから力抜けよ。気持ち良くないんだろ? だから気持ち良くしてやるって」
「んんぅ、やだぁっ、なんか痛い!」
「だから力抜けって」

 痛むのが嫌で反射的に力を抜いた事に後悔した。キールの中指が徐に奥へと沈んできて、抽迭が始める。いつの間にかクチュヌチュと蜜が混ざり合う音が鳴り響いていた。

「あんっ、あぁぁん、はん、やぁぁん」

 もう喘ぎ声が止まらなくなった。酸素を追いかけながら快感を受け入れ続ける。そして頃合いをみて一度指を引かれるが、すぐにまた第二間接まで沈んできて、今度はグイッと手前へと曲げられる。

「ひゃあぁん!」

 バチバチッと閃光が走った後、躯全体に強い痺れが流れ込んできた。当てられた場所は指の腹で擦るように振動が行われ、頭の中が真っ白になる。

「やぁああんっ! そこダメー!!」

 今までに触られた事のない、甘く蕩けるような愉悦感を味わう。そんな快楽に私は堪え切れず、キールを押し退けようとすると、さらに指でなぶられ、離れる事を許されなかった。

「やだやだやだぁー、そこはダメなのぉ!」

 しがみ付いている腕にギュッと力を込め、泣きながら訴える。

「わかったよ」

 私の思いが通じたのか、指を離してもらえるのかと安堵感を抱いた。でも私の思いとは裏腹に性急に二本目の指が侵入してきたのだ。





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