第五十一話「バイブレーションの恐怖再来!」
頭上から声が落ちる!!
「連れて行く前に、そのコ少しスリスリしてからでもいい?」
な、なんか凄絶にキモイ言葉が耳に入ってきた!私を案内しようとしていた男性だ!!でもこのキモさ何処かで?それに……誰か…もう……一人……いる……??
―――あ、あれ?なんだか…急に……眠気…が……襲って……??
「そんな暇ねーよ!早く連れて行って、金貰う方が先だ!!」
「え~~~!!」
これ以上は完全に意識が遠のいていき、記憶にする事が出来なくなったのだ…。
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―――ガタッ!
なにかの音が聞こえ、意識が目覚める。
―――あれ?…私?
夢現のような感覚で頭がぼんやりする中、私は状況を把握しようと、懸命に思考を巡らせていた。
―――ここは?
限られた視界の中には木造の壁?床?そして埃くさいにおいまでもする。古びた小屋といったところだろうか?
―――確か…私……?
「ったく、いつになったら、金が来るんだ!ソイツが目覚める前に、ずらかりてーのに!」
「ねぇ?そろそろスリスリしてもいいよね?」
「オマエは黙ってろ!」
「え~~~!!早くしないと、そのコ目覚ましちゃうよぉ~~~!!」
―――キモッ!!
全身余るところなしに嫌気が回った瞬間!意識がハッキリとしたんだけど……なんか拘束されている!?躯の身動きが取れない!!視線を落とすと……えぇ!?!?なんか私、縄で手足を縛られて横たわっているんですけどぉー!!
―――ど、どうしてこんな事に!?
視線を泳がすとハッとする!!
「「「あ!!」」」
目の前に輩二人と視線が合い、同時にヤツ等と叫んだ!!
「あ~~ん!!目を覚ましちゃったよ~~!!バイブレーションのチャンスがぁ~~!!ウィリアムのバカァ―!!!!」
「うっせー!!騒ぐな!!オマエがウダウダ言うから、ソイツの目が覚めたんだ!!チャールズ!!」
―――こ、この二人は!?!?
いつぞやのシャークスと初めて会った時、彼に絡んでいたおバカな……「ウィリアム&チャールズ!!」なんであの二人がここに!?私はヤツ等をガン見する!ウィリアムは相変わらず、無駄にチャラチャラした格好をしていて目ざといし、チャールズは全部がキモイ!!
「もう!バイブしちゃうもん!!」
「来ないでよ!!キモオタ!!」
キモオタ、チャールズはバイブレーションとかほざいて近寄って来ようとしたもんだから、私は叫んでヤツに制止をかける!!ガチキショイッ!!前回も私の頬にバイブしようとしたキモオタだ!!病院で声をかけてきた男はコイツが変装していたのか!?どうりで不快な雰囲気を感じていたわけだ!!
「ウィリアム、君キモオタだって言われたのぉ~」
「てめぇの事だ!」
チャールズに向かって叫んだのに、ヤツは自分の事だと気付かず、ウィリアムに被せていた!!ある意味、無駄にポジティブなヤツだ!!
「ボク、キモオタじゃないもん!だからボクの事じゃないもん!!」
プンスカと怒って頬を膨らませるチャールズの姿は言葉では表せられないほど、キモかった!!コイツはなんでこんなにキモイんだ!!
「ちょっと!私にこんな事してなんのつもりよ!!」
「答えるより、バイブが先なのぉ~!!」
「キモイんだよ!!キモオタ!!近寄るな!!私に指一本でも触れたら、生まれてきた事を後悔させてやるからな!!」
「あーん!!怖いの怖いの怖いのぉおおお!!」
―――いっちいちキモイし、オゾマシイ!!
状況を把握したいのに、チャールズのキモさが勝って先に進めない!!身動きも取れないし!!わかっている事は目の前のヤツ等に捕まったって事だよね!?この間の報復って事なの!?
「この間の事を逆恨みして人を拉致したのね!!拉致は大罪なんだから!!死刑判決になりたくなかったら、今すぐに縄を解きなさいよね!!」
「ソイツは無理なお願いだ。オレ等はもう去るからな」
うつ伏せの体勢から顔を上げ、悪あがきのように叫ぶ私に対して、ウィリアムは蔑み跳ね返した!
「とりあえず外で待ってっゾ」
「え~~~!!!!バイブ~~!!ちょこっとバイブしてからでもいいでしょ~~?」
「好きにすれや!!金づるからは縄で縛る以外、ソイツにはなにもするなと言われてんだ!早く終わりにしろよ!」
「やったぁ!!!!」
―――ひぃぃぃ!!!!
しつこいチャールズの要望に、とうとうウィリアムが折れてしまった!!そして、そのままウィリアムは部屋から出て行ってしまい……私はキモオタチャールズと二人っきりに!?!?バイブなんて、いーやーだぁぁああ!!!!
あれ?でも今、ウィリアムは「金づる」って言ってたよね?どういう事!?……って、その前に頬を紅潮とさせ、目をキラキラと潤ませ、息を無駄に弾ませて、こっちに向かってくるチャールズを止めたいぃぃ!!!!
「来ないでって言ったでしょ!?!?」
「そんなの知らないも~ん!!」
私の言葉をフルシカトしたチャールズは私の前まで来ると、勝ち誇ったように見下ろしていた!!
「じゃぁ、早速君の頬をボクのほっぺで、スリスリとしちゃおっと♪」
―――ひぃぃぃ!!!!
チャールズは腰を下ろし、満面のキショ笑顔を見せながら、私へと手を伸ばしてきた!!私はあまりの気持ち悪さに血の気が引く!!完全に私の心は死……ん……で……い……く。。。そして………、とうとうチャールズの手が私の頬へと触れ……!!!!
―――神よぉぉおおおお!!!!今すぐ私をお救い下さいぃぃぃ!!!!