Birth84「淫蕩な蜜に染まり」
あまりの鮮やかな手つきに驚くのも束の間、秘部があられもない姿で顔を出しました。
―――そちらの焦らし効果はカットですか!
今まで時間をかけ、丁寧に愛撫されてきたオールさんが展開を急がれたのかと、私は慌てふためきます。てっきりショーツ越しで焦らされるものかと思っておりましたが、この展開は完全な誤算でした。
たちまち頬に含羞の色を浮かべた私は動揺のあまり、咽るような声を洩らしてしまいます。急に甘いムードを壊す音にオールさんは驚愕し、口元を離れて躯を起こされました。
「沙都様、大丈夫でしょうか?」
「…っ」
お声を掛けられてもなんとお答えをしていいやらです。品のない声を洩らした後で、少し視線を落とせば、赤裸々となっている秘部が見え、何とも言えない気持ちが沸々とわいてきているのです。
「沙都様?」
不安気な表情に変わられるオールさんを目にして私は焦燥感を抱きます。
「お、驚いてしまっただけです。…その、あの」
しどろもどろな答えを零す私の視線は無意識に脱がされたショーツへと向かっており、それにオールさんは気付きます。あ~、彼の視線までもショーツに行ってしまいましたよ。
空気に晒された秘部を今すぐにでも隠そうと思っているのですが、躯というものは機敏には動かないものです。私は行き場のない羞恥に視線を伏せておりました。そこに…。
「御召し物がこれ以上染みてしまうのは如何なものかと思いまして」
真顔でお応え下さったオールさんに、私は面食らってしまいました。確かに女性は白濁した液でショーツが汚れてしまうのをあまり好ましく思っていませんよね。そのような事まで気遣って下さっていたのですね。
「お気遣いを有難うございます」
―――本当に彼は相手の気持ちを考えて行動をされるのですね。
縮こまった様子でお礼を申し上げた私を見つめるオールさんは淡い笑みを見せ、それからサッと私の目の前に人差し指を翳します。
「あの?」
その指の意図が分からず、微かに首を傾げていましたら、
「はむぅ」
躯を横たわる姿勢にさせられ、オールさんの指が私の唇の間に挟まれます。すぐに指は真っ直ぐに向きを変え、私の口内になだらかに沈み込んできました。
―――こ、これは…?
指を愛撫しろという事でしょうか。指は私の舌に触れるとツンツンと突っつき、まるで誘いに出すかのように動き出しました。そのまま指の動きに合わせて私の舌が踊り始めます。
ゆっくり緩やかに廻る指に舌が舞い、妙な羞恥心を煽られておりました。その内に指は湿り気を帯び、まるで舌のように蠢き、私の口内を翻弄していきます。それから私の動きが滑らかになっていくと、指は大きく廻り出し、時折口元の外へと誘(いざな)います。
その指を追いかけ舌を表へと出しますと、そこから躍る舌の姿が厭らしく目に見え、とても淫らな行為をしているように思いました。オールさんはその様子を一心不乱となって見つめており、私は視姦されているような気持ちとなります。
羞恥に瞳が潤み始め、蠢く指に思わず手を掴んでしまいました。オールさんは勿論、自分でも無意識の行動でしたので驚きます。そのような私にオールさんはまた気遣う表情を覗かせました。
「お辛かったのですか?」
「あ、いいえ。その…光景が……」
淫らで刺激が強すぎまして、と言葉が紡げません。
「だ、大丈夫です。し、失礼をしました」
「謝られる事ではありません。それにこれだけ濡れていれば、沙都様の中を解していけそうですから」
「え?」
―――それはどういう意味で?
「…え?ひゃっ…あぅ」
弾き音のような悲鳴上げてしまいました。疑問符に気を持って行かれている間に、膣内に質量が沈み込んできたのです。それが先程まで私が淫らに舐っていたオールさんの指だという事に気付きます。
「はぁっ、あぅ、あんっ」
ゆっくりと抽迭が始まり、息を詰めながらも、すぐに艶っぽい声が口元から零れます。その声だけでどうにかなりそうなところに、自ら膝を立てて足を開き、指を挿れ易くしている痴態に、顔から猛烈に火が出そうとなりました。
「沙都様、もう少しお力を抜いて下さいませ」
言われて気が付きましたが、いつの間にかグッと力が入っていたようです。その力がオールさんの指を締め付けてしまっているのでしょう。この状況で力が抜けるのか自信がありませんでしたが、出来るだけ抜くように心掛けました。
意識するだけでも圧力が緩和されたのか、抽迭が滑らかになり、心地好い圧迫感に変わります。そして熱い疼きが膣内に渦巻き、快感と共に潤沢な蜜が湧き出され、さらに指の動きを滑らかにさせました。
間もなくしてクチュクチュと抜き差しされる度に擦れる水音が耳へ纏わり付くようになり、次第にそれは卑猥な音へと変わっていきます。指の動きは至って律動的でありますが、気が付けばグチュヌチュという弾き音が響いておりました。
湿潤となった内奥から分泌された蜜は外へと掻き出され、秘唇や花芯に塗りたくられていきます。私の足はガクガクと震えておりますが、頭の中ではずっとこの感覚に溺れていたいと、甘くトロトロとした意識に浮遊していました。
「はぁっん、あんっ、ふあんっ」
淫猥な音と共に口元から熱い嬌声が洩れ続け、息苦しささえも心地好く思わせる甘い快感に身を委ねます。
「気持ちいいですか?」
「んあっ、あんっ」
オールさんから甘い声色で問われますが、私は呼吸をするのがやっとで答えを返せません。ですが、私のウットリとした色に染まっている表情を見れば、彼も察しがついている筈です。
「もう少し広げますね」
「ふっあんっ」
言葉を落とされた刹那、膣内には質量感が増し、呼吸に重圧がかかりました。今度は二本の指での抽迭が始まり、言葉の通り内部を広げていくように差し抜きが繰り返されます。グッと膣内に重さが沈み、躯には負担となる筈ですが、そこに快楽が上塗りするように流れ込んできます。
蜜が潤骨油を作り出し、見事に快楽を生み出しているのです。蜜に塗れながらも、律動を繰り返す指、耳奥にまで震わす官能的な水音、色香に放つ蜜の匂い、私を纏う空間すべてが淫蕩な色へと染まり、只々気持ちいいが躯中へと浸透しています。
そして秘部全体がぬかるんできますと、指の動きに変化が現れました。膣内でくすぐるような、撫でるような、やんわりとした蠢きに今までとは一味違う悦楽が纏わります。それは何か探るような動きで焦れったさを感じさせました。ですが…。
秘唇、花芯、膣内と指は私の期待を裏切らず、膣内を隈廻り、私の一際感じやすい場所を探り当てられ、そこを重点的に責められます。動きに荒々しさはなく、かといって刺激的な蹂躙に快楽が幾度も突き抜けていきました。
相手を早く達せさせたいという思いから、動きを速めてしまう男性がおりますが、それは却って膣内が傷つき痛みを伴います。オールさんはオーガニズムの仕組みをよくお分かりのようで、リズムを保って確実に私を昇り詰めようとされていました。
「あんっ、はぁ、あぅん…」
私のしどけない口元から甘ったるい声が止めどなく零れ続けます。洩れるのは声だけではありません。溢れ返る潤いがグヂュリヌチュリと勢い良く水音を弾きます。卑猥な音ですら今の私には快美感にしか思えません。
「だいぶ解れてきましたね。ですが、もう少しだけ…」
―――え?
吐露するオールさんの言葉を耳にして、意識が彼へと向きます。彼の漲る瞳が目に入り、私はゾクリと背筋が戦慄きました。もしや激しく愛撫されるのではないかと懸念した私は、
「もうそこは十分にふやけておりますので、大丈…え?」
咄嗟に色気のない言葉を発して、オールさんの次なる行動に制止しようとしました。ところが、私の予想は見事に外れ、彼の姿が私の下肢へと落ちていき、サッと内腿を持ち上げられたのです。
「え?」
何も遮るものもない私の秘部はオールさんの透き通る金色の双眸にしっかりと映し出されています。あ、あの?ま、丸見えなのですが?先程まであれだけの行為で今はしっかりと濡れそぼった凄い姿をしている秘部ですよ?
「ひゃぅん」
呆気に捉われている間にオールさんの舌が内腿へと入り、次に付け根から溝を舐められました。強くくすぐられる刺激に、私は喉を震わせながら舌のなぞりを感じ取っておりました。これから何を彼がしようとするのか想像がつき、舌が這う度に躯全体が小さく打ち震えます。
「ふっぁあんっ」
茂みに舌が滑り込んだ時、絶頂に喘ぐような過剰な声を上げてしまいました。
「ひゃっ、あ…あの、そ、そこは…き、綺麗な…場所では…ないので」
舌を挿れられた事がない訳ではありませんが、なんとも絶妙な刺激に、これ以上は失神してしまうのではないかと感じた私はなんとかオールさんの舌の動きを止めようとします。
「ご心配をなさらずに。沙都様の蜜は熱くとても甘美ですよ」
そう艶やかに微笑むオールさんですが、美化された言葉は却って私の羞恥に火を注がれ、私は黒焦げになりかけます!オールさんの美声から綺麗な言葉はお似合いですが、私には身に余りまくりなんですよ!突っ込みを入れた矢先に、再び熱く甘やかな舌が柔らかに嬲り始めました。