特別編②「愛情の深さに蕩かされます!」
「千景……」
頬を覆われていた手を外されて、見えてきたのはキールのドアップだ!
――うおぉ、チューではないか!
そう思った時には私の唇は塞がれていた。キールの柔らかい唇の感触から、ビビッと電気が流れたような痺れが走る。今まで数えきれないほど、チューをしているけれど、この緊張感からくる痺れは変わらない。
スルッと舌が差し込まれ、なんの抵抗もなくお互いの舌が絡み合う。キールの熱い舌が唾液と共に私の口内で蠢く。何処に触れられても気持ちが良くて、フワフワとした陶酔感が生まれていた。
「ん……んぅ……」
気が付けば、自分の口元から甘い声が零れていた。だって本当に気持ちが良いんだもの。自然と出ちゃうのだ。それに舌がネットリと絡まる度に水音が漏れ、気持ちがどんどん高められていく。
お互いの吐息が熱い。キールも私と一緒で昂っているんだ。愛する人と同じ気持ちを共感する、なんて幸せな事なんだろう。私は蕩けるような口づけを味わう度にそう思っていた。
「んぁっ」
キスされたまま、夜着の上から胸を揉まれる。弾力を感じるように力強く揉もれ、それに合わせて声も洩れてしまう。
「んっ、んぅ……んぁっ」
――やだ、もう……。
心臓が飛び出しそうなぐらいバクバクと高鳴る。その内にキールの手が私の寝巻を下へとずらし、直に胸を揉まれるようになった。
「んふっ」
感度が上がっていくと、自然と洩れる声も大きくなる。大きな手が私の胸をスッポリと包み込み、彼の思うがままに揉みしだかれていく。時には突起を軽く指で弾いたり、押し潰すように回したりと、全身が痺れるような陶酔に襲われていた。
ただでさえ、蕩けるような甘いキスと胸を翻弄されるだけで刺激が強いというのに、さらにキールは突起を間髪入れずに弾き始めてきたのだ。うぅ、これは例の「あれ」が始まるのだ。
「んっんっんっんっ」
口元から荒々しい吐息が零れるようになり、躯が小刻みに跳ね上がる。
――キスに集中出来ないよぉ……。
突起を玩具のように弄んでいるキールの指に、意識が集中してしまう。それによって舌が上手く絡み合わなくなると、キールはサッと舌を離した。乱れた息遣いをする私を見て、満足げに口角を上げる姿が憎らしい。
普段キールの事は年下だと意識しないようにしているけど、こういう時「年下なのに生意気だ!」と、つい思ってしまう。そんな年下に好きに翻弄されてしまっているのだけれど。
「千景はじっくりされるよりも、間髪入れずに責められる方が好きだもんな?」
「や、やだぁ……」
やっぱり始まった、キールの言葉責め。私をどんどん辱めて情欲を煽るのだ。唇の拘束から解かれて、私の視線は自然に胸元の方へといってしまう。
「んあっ、やぁん、はぁぁん、あんっ」
私の視線に合わせ、キールは見せつけるようにして、厭らしい指の動きを始める。責めに責められる突起はすっかりと色づいて屹立していた。恥ずかしいってもんじゃない!
私の顔は熟れた林檎のように赤くなって、甘い声を洩らし続ける。そんな私の反応をキールの翡翠色の瞳がしっかりと捉えていた。それに気付いた私の羞恥は極致へと向かって行く。
「やっ……み、見ないでぇ」
私は涙目となって懇願する。これ以上見られたら、恥ずかしさに押し潰されて、自分が自分でいられなくなるよぉ!
…………………………。
キールはなにも言わずに私を見つめる。彼がなにを思っているのか見当がつかない。その代わり表情が熱を帯び、色香まで放っていて、私の敏感な場所に疼きを生じさせる。
「千景、オマエそんな潤んだ瞳をさせて煽っているのは計算の上か?」
「え?」
なんの事? 潤んだ瞳をさせているのは必死でお願いをしているからだ。でもキールには私の表情が誘っているんだって捉えたようだ。ち、違うっての! ていうか、お互いがお互いの姿に欲情しているのか! もうやだっ!
なんとも言えない羞恥に、私は瞼を固く瞑る。それがキールにとっては煽っていた瞳を隠したかと思ったのか、それが彼の雄の本能を刺激してしまう。ササッと背中からベッドへと倒され、私の上をキールの躯が覆う。
「ふっぁ……ああんっ」
目を瞑っている間に、片方の胸の突起がキールの唇に包み込まれた。指だけで十分に色づけられた突起への刺激は稲妻に打たれたような衝撃を走らせた。その上にもう片方の胸の突起を重点にして揉みしだかれる。
「やぁっ」
貪るように味わい尽くす雄の性欲は恐ろしい。特にキールはティーンなだけあって、欲の強さは凄まじいのだ。暴走されたものなら最後、私は朽ち果ててしまうのがパターンだ。
「オマエが見るなって言ったから、見ないようにやっているんだけど?」
そう淡々と言い切ったキールは再び私の胸に集中する。確かにキールの視線は私の表情からは外れているけれど、だからといってさっき見つめられていた時とはまた違う熱が、私の躯を支配していた。
キールの指が、舌が本当に目にしていられないほど、厭らしく蠢いていた。触れられる部分が点火したように熱く感じる。キールからのの熱が快感と共に、私の躯の中に浸透していく。
もうこれ以上は見ていられない。頭の中がどうにかなってしまいそう! 私は再び目を固く閉じると、それに気付いたキールは故意に水音を漏らすようになった。
「あんっ、お……音、やぁっ……」
舐る音、吸い上げる音、キールはいつもよりもわざと大きな音を出して、私の羞恥を極限にまで煽る。私の切望なんて聞き入れる気なんてないのだ。私はシーツをギュッと掴み、快楽に堪える。
「んあっ、やぁん、あぅっ、あんっ」
秘所が芯から疼く。じんわりとした熱が蜜となって滴り、早く達したいと躯中が訴えかけていた。
「千景……」
不意に低く甘ったるい声で呼ばれる。熱の籠ったキールの声は余計に私の躯を疼かせる。行為を中断したキールは私を鋭く見上げていた。
「次はどうされたい?」
「あ……」
キールは気付いている。私が次にして欲しい事を。それをわざと口にさせるつもりなのだ。私は下肢をモジモジとさせながら、疼きを強調する。
「疼いて……いるのぉ。そこを……鎮めて欲しいのぉ……」
私はたどたどしい口調で伝える。本来は恥ずかしくて答えたくないのだ。
「そこって何処?」
「やぁっ、わかって……いるくせにっ」
わざとらしく訊いてくるキールを私は目を潤ませて恨めし気に見る。
「ちゃんと口にしないとやらないぞ」
「ひ、酷いよぉ……」
今の私の躯の状態を知っている筈なのに、キールは敢えて意地悪をして焦らそうとしている。私は躯をくねらせ、意を決して叫んだ。
「敏感なアソコが疼いて仕方ないのぉ、疼きを鎮めってばぁっ」
ここまでにさせる私の姿は相当切実なのに……。
「アソコが何処かわからないな」
尚もせっついて訊いてくるキールに、とうとう私は涙を流して場所を示す。
「ここだよぉ」
指で秘所をさして知らせる。
「ここと言われも夜着で姿が隠れて、わからないって」
「え?」
それって……。キールの求める意味に気付いた私は酷く戸惑い硬直する。今日はどうしてこんなに意地悪なんだ。いつもならキールの方が痺れを切らして迫ってくるのに、今日は最後まで私を誘導してこようとしている。
キールの求める事をするのは抵抗がある。でも躯の疼きもどうしようなくて辛かった。そんな葛藤している私をキールは悠々と黙視している。私の出所を様子見しているのだろう。
「……っ」
私は覚悟を決めて、両手で恐る恐る寝巻の裾をたくし上げる。心臓がバクバクといい、胸と耳の奥を圧迫させる。太腿とその先にある湿り気を帯びたショーツが姿を現した。
「こ……これでわかったでしょ?」
恥ずかしくて声がか細く震える。
「これでって言うけど、まだ隠れているけど?」
「!?」
嘘!? ここまでやったのに、キールはこの先も私にさせようとしているの!? し、信じられない!
「もう……十分やったじゃん!」
私はボロボロと涙を流して訴える。
「なんだ? 千景の次にして欲しい事はショーツをオレに見てもらう事なのか? だったらここでオレは眺めているよ」
「……っ」
キールは体勢を上げ、言葉通り私のショーツへと目を落とす。勝手に視姦モードに入るのか! ここまで辱めておいて、しかもこんなに泣いているのになんてヤツだ!
「違うよぉ」
「じゃぁ、やって欲しい事をちゃんと表せよ」
「……っ」
私はもうヤケクソになってショーツに手を掛け、素早く剥ぎ取った。蜜でしっとりとなっている秘所が姿を露わにする。
「もうこれ以上の意地悪しないでよね!」
私は頑なに目を瞑ってキールへと叩きつけた。眦に涙を溜めてもうキールの姿が霞んで見れない。その直後だ。
「うわっ!」
いきなりキールから両方の腿裏を持ち上げられて、そのまま顔の横まで足を折り曲げられる!
「や、やだぁ! なにこの体勢!?」
私はエッチな女優さんじゃないんだからぁ! 丸見えの秘所とお尻がキールの目の前にある! 腰が浮き上がって、とんでもない体勢にさせられた私は必死で、キールへと口で抵抗をぶつける。
「場所がよくわからなかったから、確認しようとしたんだって。これでよくわかったよ。このグショグショになってヒクついているオマエのここの疼きを鎮めれば良かったんだよな?」
「やぁ、変な言い方しないでよぉ。こんな体勢恥ずかしいからやめてよぉ」
「なんだよ? じゃぁ、四つん這いになって足広げろよ」
「やぁっ! それも恥ずかしい格好じゃんっ」
「だったら千景の好きな体勢になればいい」
「やだぁ、もうっ」
秘所を弄られる体勢なんてどれも恥ずかしいのに、なに勝手な事を抜かすんだ!
「ふっぁあん」
私の抵抗が癪に障ったのか、キールの舌が秘所を襲った。
「あんっ、やぁんっあぁん」
息つく間もなく舌は卑猥な音と共に沈んでいく。焦らされた分、悦楽が躯中に駆け巡り、一瞬にして私は恍惚感へと陥った。
「パックリと開き切っていたから舌が沈み易いな」
「やぁんっ」
「こんなに蜜垂らしまくって潤骨油作って、千景は準備が出来上がっていたんだな」
「やだってばぁ……」
「嫌々言って煽るのが千景のやり方だもんな」
キールは秘所の中を舐り回しながら、淫らな言葉責めまでしてくる。毎夜、躯を重なり合っているから、日に日に躯を開発されてキールは新しい責め方を覚えてしまう。若さって本当に恐ろしい。
「んあっ、やぁん、はぁぁん、あんっ」
「舌締め付けてくるな。千景なりの抵抗ってやつ?」
「んぁっ、し、知らないっ、んぁあんっ!」
秘裂を露骨に指で割られ舌が浸透してくる。もう以上、掻き乱されたら壊れてイッちゃうよぉ。
「あんあんっ、もう……らめ、イッちゃうぅ」
込み上げてくる絶頂に、ビクンビクンッと躯が跳ね上がると、それが合図かのようにキールの舌が離れる。さらに私の足を元に戻されてしまった。
「あぁん……」
今度はもどかしさで気がおかしくなりそうだった。イク寸前の意地悪な焦らし効果をされた。毎度の事だけど、こればかりはキールに対して恨めしく思ってしまう。
「千景、次にする事わかっているよな?」
「え?」
キールから真顔で言い放たれ、私は目を剥く。彼の言いたい事はわかっている。達したければ、大人しくキールの求める事をしなければならない。私は全身を真っ赤にして、よろよろとした動きで体勢を上げ、キールに背を向ける。
そう、私は自ら四つん這いになって足を大きく広げたのだ。さっきキールは四つん這いと言葉にしたけど、何気げない言葉のように思えて、後で必ずされる行為なのだ。口にされた行為は避ける事は出来ない。
ギシッとベッドが軋む音が聞こえ、キールが近づいて来るのがわかる。これからされる事を考えると、居ても立ってもられない気持ちになって、顔をベッドに沈める。次の瞬間にはグイッと秘所を開かされて、キールの指の二本が中へと沈み、抽迭が始まった。
「指が吸い込まれるな」
「やぁんっ、あんあん……気持ちいい」
指一本だけで、どうにかなりそうな気持ち良さに意識が別世界に行ってしまいそうだ。ズブズブと沈む度に、グヂュッヌチュッとした粘り気のある音が洩れ、私の躯を大きく震え上がらせる。
「あんっ、おかしくなっちゃうよぉ」
あまりの快楽に気持ちが自然と吐露してしまう。キールは的確な場所を打ち続けていた。彼は私の一番気持ちのいい場所を知り尽くしている。速度と強弱を自在にし、私の反応を楽しんでいるように思えた。
どんなにキールに好き勝手な事をされても、私の躯は喜んで受け入れてしまう。それは蕩けている声で丸わかりだ。だからキールはずっと私の躯を貪り続ける。
「んっあ!」
輪をかけて重圧がかかる。指がもう一本増やされたのだとわかった。今度は二本の指で捻じ込むような動きの抽迭が繰り返される。
「すげー蜜が溢れてオレの指にベットリ纏わりついてくるな」
「あんっあんっ、やぁっ、らめっ、今度こそ……イッちゃうのぉっ」
ゾクゾクと込み上げる快楽の波に押し上げられ、秘所がキュゥーと収縮しているのがわかった。すると……。
「ひゃぁあっ!」
意表を突かれ、私は悲鳴に近い声を上げる。突然にヌルッとした生温かい熱が秘所に入り、さらには敏感な花芯に手を掛けられたのだ。舌と指の同時責めだ。
「あぁぁん、あん、んあぁ、いやあん、あぁぁんっ!」
もう滅茶苦茶にグヂュグヂュにされ、頭の中もグッチャグチャになって、なにがなんだかわけがわからず、意識が飛びかけた。
「ふぁああん!!」
頭の中がパァンと派手に弾け、本当に意識が飛んでしまった。痙攣していた躯が急に力を失い、私はその場にグッタリとなって倒れてしまった。
「はぁはぁはぁ……」
「千景……」
必死に呼吸を整える私の頭上で、キールの甘い声がかかる。
「よく頑張ったな」
そしてフワッと私の頭に手が置かれ、優しく髪を撫でられる。心地好い触りに、また新たな熱が加えられる。
「頑張ったオマエにちゃんと褒美をあげるからな」
「ふぇ?」
続いたキールの言葉は……まさに悪魔の囁きそのものだった。嫌な予感がするぞ……。
…………………………。
「やぁああん! 壊れちゃうのぉ!!」
予感的中。思っていた通り、私はあのまま後ろからキールの猛々しい雄が襲いかかり、夜通したっぷりと愛情を注ぎ込まれ、朽ち果てたというのは言うまでもない……。