番外編⑦「千景の愛溢れるプレゼンツ!」




「ぶっははははははっ」
「ちょっとアイリ! 笑い過ぎ! キールの目の前で失礼でしょ?」
「だってさ、これは傑作でしょ!」

 失礼ながらもアイリは「これ」に指を差しながら、大笑いをしていた。ちなみに「これ」とは千景がキールの十八歳の誕生日にプレゼントをした「千景像」の絵画の事であった。

 キール、アイリ、シャルトの三人はキールの部屋の応接室でミーティングをする予定であった。アイリは部屋に入って千景像を見るなり、大爆笑したのだ。

「ねねぇ、この絵ボクに頂戴よ。部屋に飾って朝晩かかさず拝ませてもらうからさ! プフフッ」
「…………………………」

 アイリはさらに調子づいてからかってきた。その様子にキールはなにも言わず、シャルトは冷やかにアイリを見つめていた。そんな中、ヒョコッとキールはある物を手に出した。

「なぁにそれ?」

 アイリは食い付いて、それを覗き込む。なにやら布で作られたもので、一見それがなんなのかわからないのだが、見ようには人型のようにも見える。

「千景が作った人形だ」
「人形?」
「千景人形だ。王宮から離れている時、オレが淋しくないように自分の姿をした人形を作ったみたいだ。ちなみにオレ型の人形は千景が持っている」
「ブッ!ぎゃははははははっ、ウケるー! それ千景代わりの人形なんだ! メドゥーサみたいに髪の毛が爆発してるし、口も裂けてるじゃん! 目も左右ずれてるし、しかもキールのもあるってさ!」
「アイリ……アンタ完全に千景をバカにしてるわよね?」
「そんな事ないって!」

 シャルトの突っ込みに、アイリはいけしゃあしゃあと答える。明らかに小バカにしているアイリを横に、キールは手にしている千景人形を一心に見つめていた。見ようには愛おしそうに噛み締めているようだ。

 ――ダメだわ。キール、千景人形に完全に感動しているわ。

 キールの様子にシャルトは切なる思いを抱いて見守っていた。

「私も貰ったのよね」
「「え?」」

 シャルトもヒョコッとある物を手に出した。

「なにそれ、妖怪?」

 アイリは目にすると、透かさず突っ込んできた。シャルトの手にしている物も、かろうじて人型に見えるには見えるが、実際なんなのかがわからなかった。

「私だって」
「え? シャルトなの? ぎゃはははははっ」
「どうしたらこう不揃いに糸を通せるのか不思議よね?」

 シャルトの人形はまた一段といびつな形をしていた。彼の美しいウェーブの髪型はモジャモジャヘアーとなっており、顔のパーツも何処が目で何処が鼻なのか把握する事は不可能だ。しかし、シャルトは突っ込みこそは厳しいが、満更でもなさそうだった。

「えーでもさ、シャルトまで貰ったの? ボクも千景が作った人形が欲しいよ」
「アンタは貰ってもバカにするんだから、初めから貰わない方がいいでしょ?」

 実はシャルトは千景からはアイリ型の人形を預かっていた。アイリの分もきちんと千景は作っていたのだが、あまりにもアイリが小バカにするもので、シャルトはプチお仕置きに黙っていたのだ。

「そんな事ないよ。ボクも欲しいって! ボクも欲しいって千景に言って来る!」
「やめなさいよ! 千景、疲れて休んでいるのよ!」
「えー! だって欲しいもん欲しいもん!」
「男のくせにキモイわね!」
「どうしてシャルトはボクに辛口なのかな~」
「なぁ、そろそろ話を始めないか」

 と、アイリは暫く自分だけノケモノ扱いされたと、ブーくれるのであった……。

☆*:.。. .。.:*☆☆*:.。. .。.:*☆

 シャルト視点です!↓↓↓

「シャルト、お願いがあるの」

 千景がこちらの世界に来て、もうすぐ一年を迎えようとしていた頃だ。未だに彼女はシャルトとの勉強会が続いており、たまに文句をブー垂れながらも、将来妃になる自覚を意識し、熱心に勉強をしていた。

 ある日の事だった。午前中の勉強が終わるとすぐにシャルトは千景から名を呼ばれた。なにやら千景の様子が畏まっているようで、シャルトは怪訝に思いながら返事をした。

「なに?」
「うん、あのさ、もうすぐキールの誕生日じゃん? それでなにをあげたらいいのか迷っていてね」
「そうねー」

 あと一週間ほどでキールの十八歳の誕生日の日を迎える。当日は他国の王や大臣やら総勢を集めて盛大なパーティを行う予定だ。

「王様だから大抵のものは手に入るんだろうけど、私じゃなきゃ渡せない物をプレゼントしたいんだよね。キールが欲しそうな物ってわかる?」
「基本物欲のないコだからね、特には思いつかないわよ」
「そうなの~? どーしよー、もうずっと悩んで一週間前まできちゃったよ」

 千景は心底困っている様子だった。とはいえ、シャルトも思い当たるプレゼントはなにも浮かばない。

「手作り系がいいかなって思ってはいるんだけど、食べ物だと消耗しちゃうから、出来れば手元に残る物がいいんだよね~。あー本当どうしよう」
「残るものねー、飾り物にしたら目につくし、良いんじゃない?」
「そっかー、飾り物かぁ~」

 千景は感心したように呟く。その直後、なにか閃いたかのように彼女の瞳は煌々と輝いていた。

「あー!」
「な、なに!?」

 千景の突然の叫び声にシャルトはドン引いた。

「良い物を思いついちゃった! ナイスアドバイスだよ、シャルト」

 千景はニヤニヤと大層嬉しそうに笑みを浮かべ、シャルトを見上げた。

「なににしたの?」
「それはね!」

☆*:.。. .。.:*☆☆*:.。. .。.:*☆

「ジャジャーン、見て見てシャルト、とうとう出来上がったよ!」

 子供が宝物を見つけホクホクした表情を見せる千景が手に持つ「それ」を目にしたシャルトだが……。

「す、すごい立派な出来栄えね」
「で・しょー? すっごく綺麗に仕上げてくれているよね! さすがバーントシェンナで、一番美しい絵画をえがく画家さんだよね~」

 千景は喜色満面を見せているが、シャルトは正直ドン引き&マジ引いていた。

 ――まさか本当にやるとは……。

 千景がキールへの誕生日プレゼントに思いついたものとは……。それはなんと「千景像」であった。以前、キールの部屋にルイジアナ像が飾ってあったのだが、その絵は千景と結ばれた直後に部屋から外された。その場所に今度は千景像を飾ろうと思ったようだ。

 千景から頼まれたシャルトは不本意ながらも腕の良い画家を呼びつけ、丸三日間かけて千景像を描いてもらったのだった。ルイジアナが可憐に微笑む絵なら、千景は満面なる笑顔の姿を描いてもらったようだ。

 ――キールも私と同じ思いにならなきゃいいんだけど。

 目の前で純粋に喜ぶ千景に対して大層思い悩むシャルトであった。そんな彼の心中を無視し、千景はさらにヒョコッと小袋からなにかを取り出していた。

「なにそれ?」

 千景の手にはなにやら布で作られたなんともいえない物体があった。それは全体的に奇怪な姿をしていた。

「こっちが私でこっちがキールの姿のお人形を作ったんだ」
「え?」

 ――それって人形だったの?

 思わずシャルトは口に出して言いかけたが直前で呑み込んだ。人形は確かに見ようには人型の姿をしていたが、糸は不揃いであり、形も歪でお世辞にも上手いとは言えなかった。しかし、千景は得意げと言わんばかりに人形を見つめている。

「どうして人形を作ったの?」
「これもね、誕生日プレゼントにしようと思って。やっぱ手作りが一番愛情を感じるでしょ?」

 ――普段からでも十分重い愛情を感じるけどね。

「そ、そうね。キールもきっと喜ぶと思うわよ」
「やっぱそう思う?」

 シャルトはなるべく千景を傷つけないように応えていた。

 ――だけど、あまりにも酷い形の人形だわ。千景やキールには見えないし、悪いけど妖怪にしか見えないわ。さすがにこれはキールも痛いって思うかも。

 シャルトはさらに懸念事が増えて頭が痛かった。

「それでね、せっかくだから一緒にシャルトのお人形も作ったんだよ! はいっ」

 千景は全く悪気はなさそうに、人形を手渡ししてきた。

「私の人形?」

 手渡しされた人形はまた一段と歪な形をしていて、シャルトは正直戸惑ってしまった。シャルトの自慢のヘアーは無駄にモジャモジャであったし、顔は何処がどのパーツなのか全くと言ってわからないのだ。

 先ほどの千景とキールの人形はかろうじて、何処のパーツなのかわかったが、シャルト人形はもうめちゃくちゃすぎだ。千景が視覚障害なのではないかと疑うぐらいのレベルであった。

「あ、有難う。よ、よく似せて作ってくれたのね。とっても嬉しいわ」
「良かったぁ」

 シャルトの言葉に千景はさらに満面の笑顔を広げ、シャルトはプシュ~と顔が緩んだ。よく見ると、千景の指には沢山のテーピングが貼られていた。恐らく慣れない裁縫をして指を痛めたのだろう。

 シャルトは人形の形はともかくとして、自分を想って縫ってくれたんだと思うと、妖怪に見える人形も愛着が湧いてきたようだ。シャルトが感動をしているところにまた千景は新たな人間を手にして差し出してきた。

「それでアイリの分も作ったから渡してくれる?」
「わかったわ」
「キール、喜んでくれるといいな」
「きっと喜ぶと思うわ」

 ――だって温かい愛情を感じるもの。

☆*:.。. .。.:*☆☆*:.。. .。.:*☆

「ぶっははははははっ」
「ちょっとアイリ! 笑い過ぎ! キールの目の前で失礼でしょ?」
「だってさ、これは傑作でしょ!」

 案の上というべきか、シャルトは予感が的中してしまったと苛立っていた。千景が渡した誕生日プレゼントの一つ目の千景像をアイリは大爆笑をし、小バカにしていた。

 心配していたキールの反応だが、少し前に窺ってみたところだ。……千景らしいと笑ったらしく、それにシャルトは正直かなりビックリしたとうだ。

「ねねぇ、この絵ボクに頂戴よ。部屋に飾って朝晩かかさず拝ませてもらうからさ! プフフッ」
「…………………………」

 アイリはさらに調子づいてからかってきた。その様子にキールはなにも言わず、シャルトは冷やかにアイリを見つめていた。

 ――アイリのスイッチが完全にONになっている。キール、気にしていないかしら?

 シャルトがチラッとキールの様子を窺ってみると、なにやら彼はある物を手に出した。

 ――あ!

 シャルトは身の覚えがある物を目にして瞠目した。キールの手の中には千景からの第ニのプレゼントの姿があった。

「なぁにそれ?」

 アイリは食い付いて、それを覗き込んでいる。

「千景が作った人形だ」
「人形?」
「千景人形だ。王宮から離れている時、オレが淋しくないように自分の姿をした人形を作ったみたいだ。ちなみにオレ型の人形は千景が持っている」
「ブッ! ぎゃははははははっ、ウケるー! それ千景代わりの人形なんだ! メドゥーサみたいに髪の毛が爆発してるし、口も裂けてるじゃん! 目も左右ずれてるし、しかもキールのもあるってさ!」
「アイリ……アンタ完全に千景をバカにしてるわよね?」
「そんな事ないって!」

 シャルトの突っ込みに、アイリはいけしゃあしゃあと答える。明らかに小バカにしているアイリを横に、キールは手にしている千景人形を一心に見つめていた。見ようには愛おしそうに噛み締めているようだった。

 ――ダメだわ。キール、千景人形に完全に感動しているわ。

 キールの様子にシャルトは切なる思いを抱いて見守っていた。

 ――でもやっぱりキールも嬉しかったのね、千景人形。

 キールが痛いと思わなかった事にシャルトは安心した。

「私も貰ったのよね」
「「え?」」

 シャルトもヒョコッとある物を手に出した。

「なにそれ、妖怪?」

 アイリが興味を深めてガン見している。

「私だって」
「え? シャルトなの? ぎゃはははははっ」
「どうしたらこう不揃いに糸を通せるのか不思議よね?」

 改めて見ると人形の形はとても酷いのだが、それよりもアイリの笑い方と態度の方が行き過ぎており、シャルトの苛立ちは強くなっていた。

「えーでもさ、シャルトまで貰ったの? ボクも千景が作った人形が欲しいよ」
「アンタは貰ってもバカにするんだから、初めから貰わない方がいいでしょ?」

 ――本当はアイリの人形も預かっているけど、渡してもアイリには千景の苦労や愛情がわからないだろうし、むしろそれをバカ笑いするだろうから、暫くは渡さないでおきましょう。

「そんな事ないよ。ボクも欲しいって! ボクも欲しいって千景に言って来る!」
「やめなさいよ! 千景、疲れて休んでいるのよ!」

 ――本当はまだ起きていると思うけど、この男を止めないと。

「えー! だって欲しいもん欲しいもん!」
「男のくせにキモイわね!」
「どうしてシャルトはボクに辛口なのかな~」
「なぁ、そろそろ話を始めないか」

 ――暫くはいい薬にしておきましょう……。

☆*:.。. .。.:*☆☆*:.。. .。.:*☆

 キール視点です!↓↓↓

 本日の仕事をすべて終了させて、自分の寝室へと戻ってきたキールだが、部屋に入るなり千景の姿を目にして驚いた。千景がいつもと違って、なにやらしおらしくモジモジとした様子をしていたからだ。

「どうした、千景? なんかいつもと様子が違うな?」
「そ、そう?」

 なにかに反応するように、千景は声色からして様子がおかしかった。

「?」

 なにかあるなとは思っていたが、特に話をする素振りを見せない千景に、キールは先に浴室へと向かおうとした。

「ね、キール」

 焦ったように呼び止めた千景の方へと振り返ってみれば、彼女が布に包まれた大きななにかを手にして近づいて来た。

「なんだ、それは?」」
「うん、実はさ。明日ってキールの誕生日じゃん? 一日早いんだけど、プレゼントを渡そうと思って」
「プレゼント?」
「そう、明日の朝はバタバタだし、夜はバースデーパーティがあるから、渡す時間ないと思ってさ。はいっ」

 千景は思い切ったようにキールにプレゼントを差し出してきた。

「随分と大きいな」
「そうなんだ。なにせ力作だからね、早速中身を見てみて」

 千景の様子からして相当自信ありのプレゼントのようだ。キールは渡されたプレゼントの布を手際良く剥ぎ取り、なにやら額縁が見えてさらに色彩が映る。

 ――これは?

 完全に姿を現した千景自信作のプレゼント。満面笑顔の千景像を目にしたキールは思考回路がプツンとシャットダウンし、再起不能になりかけた。

「キール?」

 放心状態となったキールの様子に、千景は不思議そうな顔をして覗き込んでいた。

 ――ヤバイ、なにか言わねば。

「す、凄いな、これ」
「そうなの! これはね~、バーントシェンナ一腕の良い画家さんに来てもらって、三日間もかけて描いてもらったんだよ」

 絵画の千景像と同じ満面の笑みを零して説明する千景。大層自慢げに話をしていた。

 ――わざわざ呼びつけて三日もかけて描いてもらったのか!

「どうして絵にしたんだ?」
「シャルトからね、飾り物にしたらいいんじゃないかってアドバイス貰ってね、目につくし、ずっと残してもらうにはベストなプレゼントだと思ったんだ!」
「そ、そうか」

 最高のプレゼントだと言わんばかりの千景にキールは、これ以上どうお礼の言葉を伝えたら良いのかわからず、戸惑っていた。そんなキールの浮かない表情を見て、千景から笑みが消える。

「もしかして嬉しくなかったのかな?」

 千景が切なさそうな表情に変わっていき、キールは焦燥感に駆られた。

「バカ言え、そんなわけねーよ! 実物と同じぐらい眩しい笑顔で言葉を失っていたんだよ!」
「やだ、そんな! 最高に眩しい笑顔で可愛いだなんてっ」

 キールは焦って思わず発した言葉だったが、千景は顔を真っ赤にして感極まってしまった!

 ――言葉が無駄に付加されてんな!

 プレゼントを貰ったキールよりもあげた千景の方が大層嬉しがっているのが不思議に思えて仕方がないキールであった。そして千景はいつの間にか手にしていた小袋からなにかを取り出した。

「あのね、もう一つプレゼントがあるんだよ! はい!」

 千景は第ニのプレゼントを差し出してきた。キールは絵画をソファに置き、次のプレゼントを手にした。

「これは?」

 ――なんなんだ、この物体は? 妖怪か?

 キールはらしくもなく目をパチクリさせながら、それをガン見していた。糸は不揃いで全体的に形も歪であった。

「これはね、キールの姿をしたお人形だよ」
「へ?」

 キールは千景の言葉に突拍子もない声を洩らした。

 ――これがオレか?

 キールは絵画を目にした時と同様に茫然となった。妖怪と思った人形が自分と言われたのは勿論ショックであったが、なにより一年近く一緒にいた千景の目には自分はこういう姿で映っていたのかと言葉を失ってしまったのだ。

 人形(?)は髪型らしき部分は毛先が不揃いで、前髪は顔に器用に食い込んでいた。しかも目らしきものと鼻らしきものが同じ位置にあるではないか! 口らしき部分は無駄に口角が上がり凄絶に不気味だった。

 キールは人々から容姿は美しいと讃えられ、少なからず自分でも悪い方ではないと思っていたが、まさか自分の想い人から、こんな姿で映っていたなんて。キールはさすがにどう反応をしたらいいのかわからず、固まってしまっていた。

「あ、そっちは私が持ってようと思ったヤツだ。キールはこっちを貰って」

 そう千景は言うと、キールの手の中にあった人形を手に取り、別の人形を渡してきた。勿論それも妖怪人形であった。

「こ、これは?」

 またしてもキールはらしくもない少しばかり震えた声で問いていた。

「こっちはね、私の姿をした人形だよ。こっちをキールに持っていて欲しいの」

 ――千景人形だったのか!

 手にした人形はメドゥーサのような蛇の髪形をし、口は裂けており、両目の片方は垂れ目でもう片方は吊り目となっているなんとも歪な形だった。しかし、この千景人形を目にしてキールは大層安堵感を抱いたのである。

 千景本人の人形もこれだけ歪な形だ。これは千景が不器用なだけで、こういう形になるのだ。彼女の目には決してオレは妖怪に見られていないんだ! と、心の中でガッツポーズをした!

「キール、どうしても仕事の関係で宮殿から離れる事があるでしょ? 私と一緒に眠れない夜は淋しいかと思うから、その人形を私の代わりだと思って連れて行ってね」

 千景は丁寧にも人形の使い道まで説明してきた。ここまでくると千景らしいとキールは噴き出してしまう。

「ハハッ」
「な、なに笑ってんの?」
「いや、真心のこもったプレゼントで嬉しくてついな」
「そ、そっか」
 千景に満面の笑顔が溢れる。

「キール、十八歳のお誕生日おめでとう! 今まで以上に素敵な年にしてね」
「あぁ」

 キールはある事に気付き、千景の両手を手に取った。

「どうしたの?」
「随分とテーピングが貼られているなって思って」
「ま、まぁね。慣れない作業したから、ちょっとね」

 具合いが悪そうに千景は苦笑いをする。

 ――この人形作るのに指を痛めたんだな。

 キールは千景の頑張りに心が打たれ、温かい気持ちが吹き零れる。そして最後にこう彼女に伝えた。

「有難う。絵も人形も大切にするよ。今まで貰ったプレゼントの中で一番最高だ」





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