番外編⑫「室外ではイチャコラをお控え下さい」




「やん! はぁん、あんあんっ」

 秘所の表面を軽く擦られているだけなのに、躯全体が痺れるほどの快感に襲われて、自然と鼻にかかった甘ったるい声を洩らしていた。

「やぁ……ん、らめっ」

 キールの胸に顔を埋めて、私は何度もめてもらうよう声をかけていた。でも当然というように行為は進んで行く。

「はんっ!」

 花芯を弾くように弄ばれ、私は一層甲高い声を上げた。

「ダメって言う割には興奮してんな? ほんの少ししか触れてないのに、随分と感度がいいじゃん」
「やぁ……ん」
「期待されちゃーな。オレ煽られてんだ?」
「そ、そんな……ぁん! ……つもりじゃ」
「知らなかったよ。オマエ、部屋でヤルのマンネリに思ってた? 千景もそれなりに願望があったんだな。ちゃんと応えてやらんと」
「へ、変な解釈しないでよぉ。ふぁあん」

 キールは私の言葉には耳もくれず、指を奥へと埋め込んできた。

「いっ、痛い」

 まだ潤いが不足していたようで奥は痛みを伴った。

「悪い、まだ湿気が足りなかったな」

 キールは秘所から指を離すと、指をぺロッと舐めて水気を纏わりつかす。その姿が妙に艶っぽくて私の躯を疼かせた。それから指は私の秘所の中へと沈められる。

「あんっ」

 潤いを含んだ指はより快楽を深めた。一瞬で力が抜けた私は再びキールへと躯を預ける。

「あん、あん、はぁん、やぁん」

 徐々に指が奥へ奥へと入り込んでくる。でもまだ痛みを感じる。やっぱり部屋の外という事に、躯は抵抗を感じてしまうのかもしれない。私は少しばかり顔を歪めていた。

「まだ痛むみたいだな」

 そうキールは呟くと、私から躯を離れた。

「?」

 途中でめるなんて、キールらしくもないと驚いているのも束の間、彼は機敏な動きで私の前へとしゃがみ込みんだ。

「え? やっなに!?」

 なんとキールが私のオパンツを器用に剥ぎ取ってしまったのだ。スカートの裾がたくし上げられるぐらい足を大きく広げられ、恥ずかしい部分が丸見えになっていた。

「こっちならあんまり痛みないでしょ?」

 そう伝えてきたキールは私の秘所へと顔を埋めて舌を差し入れた。

「や……ぁああん」

 ――やだぁ! 今日はまだ湯浴みに入ってない躯なのに!

 それにさっきの指の時は万が一他人に見られても、かろうじて抱き合っているように見えるから、言い訳が立つけれど、今はこんな恥ずかしい場所を晒し出し、しかも舌で弄られている姿なんて、なんの言い訳もつかないよ!

 だけど、私の心配をよそにキールは気にする素振りを見せず、行為に没頭していた。それが私には信じられなかった。さっきからとんだヒヤヒヤ感に心臓の爆音が止まらず、そのまま爆発してしまいそうだよ!

「んぁっ、やん!」

 キールはすぐに敏感な部分には触れようとしてこない。焦らし効果は勿論だけど、指と違ってまろやかな柔らかさをもつ舌で最良の気を配る。茂みをくすぐったり、脚の付け根の部分を押すようにして舐める。

「あん、やん、はぁぁん」

 声を抑えようとしてもダメだ。しっかりと性感帯へ刺激を与えられ、勝手に嬌声が洩れてしまう。舌が徐々に内側へと入り込むと、じっくりゆっくりと這い回され、ゾクゾクと込み上げる快楽に堪えられなくなる。

「やぁん、もうヤメてなのぉー!」

 私は無意識に叫んでいて、キールを押し離そうとした。すると……。

「えっ?」

 ガシッと私の両手首はキールの片手で押さえられてしまう。それは私の抵抗を受け入れないという表しだ。こんな事をされたら、もう諦めるしかないのだ。

「ふぁっ、んんあ、はぁ、はぁ、はぁぁん!」

 私はなにかから弾けたように嬌声を上げていた。手で声を押さえたいのに、拘束されて叶わない。顔は茹でタコのように真っ赤に染まって、恥ずかしさのあまり瞳が水気いっぱいに潤っていた。

 その内に糸を引くぐらい蜜が流れ始めているのがわかると、私は目を固く瞑った。そこにキールの蜜をすする生々しい音によって耳が犯されていた。

「も……う、お願……い。らめ……てぇ」
「顔全体がオマエの蜜でビショビショなんだけど?」
「やぁん!」

 ここまできて言葉責めまで始まってしまう。

「どんなに責めてもヒクついて誘惑してくるよな?」
「や……だぁってばぁ」

 こんなに懇願しているのに、キールは秘所から舌を離してくれずに、割れ目に沿って舌を這わせてきた。溢れてくる蜜をすすりながら舐め回される。そして舌を最大に伸ばして奥の奥まで沈ませ、蜜を一滴も残さずと言わんばかりに舐め取られた。

「やぁ、やぁだぁぁん、あん、あん、ひゃん、はぁぁん!」

 回廊に声が響き渡る。茂みと皮でひっそりと隠れていた花芯の内部を指で剥き出され、尖らせた舌で花芯の丸い突起をしっかりと感じ取られながら、左右俊敏に往復される。

「あぁぁん、気持ちいい、気持ちいいよぉ」

 目が虚ろになる。雄を誘うようなトロンとした表情になり、火照る躯を震わせる。キールの愛撫が私の思考を、理性を狂わせる。無意識の内に躯がくねり始めた。それがキールから逃げようと見えたのか、膝裏にキールの腕が入り込んで身動きを取れなくされる。

「あぁぁん、いやぁぁ、あん、あん、あん、あぁぁん!」

 えらく息遣いが乱れた私に触発されたキールは口全体を秘所へ押し当て、花芯に吸い付いた。

「はぁああん」

 チゥーと軽く吸い付き、パッと唇を離したと思うと舌でトンと舐め弾く。いわゆる駐屯舐めの愛撫だ。全身に波が立つような気持ち良い感覚が広がって意識が飛びかけた。快楽を高めるオーガニズムに、私は達しが近い事を感じ取った。

「も……う、らめっ! イッちゃうのぉー」

 快楽の波が昇り詰めた時だ。

「っふぁあああん!」

 キールが花芯を吸い上げたまま器用に舌で舐め潰した。私は大きく躯が跳ね上がってエクスタシーへと達した。

「はぁはぁはぁはぁ……」

 息が苦しい。喘ぎ声を出し過ぎて声が枯れるどころが、酸素が上手く肺に入らない。すっかり体力を失った私はグッタリとなだれた。

「ひ、酷いよぉ。こんなになるまでヤルなんて」

 グシュッと涙で崩れた表情をしてキールを訴える。

「なら下の口を黙らせろよ。散々人を煽るように誘っておいてよく言うよ」
「な、なに言って……ぁああん!」

 キールは悪怯れる様子も見せず、逆に私を責めた後、二本の指を私の秘所の中へと埋め込む。グチュリと卑猥な音が漏れて、指の出し入れが始まった。さらに鍵を施錠するように回されたりと、動きを見せる度に厭らしい音が漏れ続けた。

「あんっ、やぁぁん! 今イッたばっかり……なの……に」
「こんだけ誘う厭らしい音を漏らしてさ、これならもう一本入れても余裕だよな」
「やん、らめー!」

 私が言葉を発した時には既に三本目の指が沈んで、奥深くで蠢いていた。

「ふぁああん、やぁん、あんあんあん!」

 ――余裕なんてないよぉ。

 もうなにも考えられなくなり、私は頭を真っ白にして喘ぎ続けた。大人しくなった私に満足したのか、キールの指は新たに翻弄を始める。三本の内一本減らし、二本の指をフックの形にして折り曲げ、擦り当てる部分を容赦なく責め上げる。さらにお手すきだった親指の腹で花芯を揺さぶり始めた。

「あぁぁん、そこらめー!」

 躯全体に稲妻が走り抜けた。知り尽くされている私の性感帯の同時責めだ。

「……千景」
「ふぁん?」

 かろうじて残っていた意識で、キールの声を拾い上げた。また言葉責めでもされるのかと思ったのだが。

「このまま指でイカせてもいいけど、オマエはなにでイキたい?」
「あん、あん、はん?」

 キールは指の動きを緩和して私に問う。

「さっきみたいに舌でもいいし、それともオレのが良い?」
「!?」

 艶めかしい笑みを浮かべるキールの言いたい事がわかった。

「はぁん、キールのでイキたいよぉ」

 私は瞳に水膜を張って懇願する。

「オレのなに?」
「あんっ、え?」
「なんなのか言ってくれなきゃわからないんだけど?」
「やぁあん!」

 わかっている筈なのにキールはシレッとして問いかけてくる。

「意地悪……しない……でよぉ」

 瞳の潤みを深めて私は訴える。

「ん、わかったよ。じゃぁさ、どういう体勢がいい?」
「え?」
「挿れられる時の?」
「やぁぁん!」

 どうしてそうやって恥ずかしい事ばかり訊いてくるんだ。

「ほら嫌がってばっかじゃなくて答えろって」
「やん、あん、あん、んぁああん!」

 指の動きをズブズブに速められて答えを催促される。

「あん、はん、あぁぁん」
「ほら言えって」
「んんぅ! う、後ろ……から……して」

 私は顔を熟れたトマトのように真っ赤しながら、か細い声で答えると、キールは満足げに笑みを深めた。





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