Link13「咲き乱れる愛の花でいっぱいです」




 レインの唇に触れた途端、嬉しさに溢れて口づけの勢いがつく。さらに舌を搦めて彼女を味わわせてもらう。口づけは何度も重ねているが、今日は特別だ。全身が嬉しさに打ち震えて自身の行動が止められない。

 それに未だ口づけに緊張するレインに愛おしさが募って余計にだ。オレは彼女の緊張を解いていこうと丹念に口内を愛撫していく。何処に舌が触れても彼女は良い反応を見せ、しっかりと感じているのが伝わってくる。

「んっ……んぁ」

 艶声が聞こえると、オレの理性は炙られ劣情に燃え上がる。ここまで来ると唇だけでは物足りず、オレはレインの首筋や鎖骨に唇を落とす。ただキスをするだけじゃない。肌を堪能しつつ、赤い印を刻んでいく。

 初めは鬱血痕を痛がっていたレインだが、今は素直に感じるようになっていた。今はこの華の意味が分かっているのだろう。綺麗な肌に所有の華が散らしていく。これはオレだけが散らせる特別な華だ。

 付けられるだけ華を散らし、今度は大きな膨らみに手を伸ばした。レインに視線を向けると、彼女は顔を真っ赤にし、異様にモジモジした様子で何か物言いたげであった。何やらリラウサカップルの方を気にしている。

「レイン? どうした?」
「ラ、ライ。これ以上は立ったままじゃなくて、ベ、ベッドがいい」

 そういう事か。レインはリラウサ達にこの行為・・・・を見られるだけで羞恥に見舞われるのか。

「あぁ、そうだな」

 何処までも可愛い反応を見せるな。ここは可愛い反応に免じてリラウサ達には見られない寝台へと移動しよう。オレはレインの手を引いていき、寝台まで連れて行くと、甘やかな時間を引き戻す。鎖骨から下の肌に華を散らし、目的の場所まで舌を這わす。

「一番咲かせたい華が咲かないな」

 豊かな膨らみの頂にある桃色の蕾だ。レインはそんなところに華が咲くわけがないと顔を朱色に染めて抗うが、オレはお構いなしにそこを愛撫する。蕾は華を咲かなくても、熟れた果実のような蠱惑的な形をしていた。

 その果実を散々に食まれたレインは幾度も小さく躯を跳ね上げ、快感を生んだのか、無意識に下肢を揺らす。視線を落としてみれば、シーツが湿っている事に気付いた。オレは目を瞠った。いつの間にこんなに蜜を零していたのか。

 それにレインも気付いているようで彼女は潤んだ瞳で訴えかけている。きっと熱が籠って苦しいのだろう。オレは熱を解放してやろうと、レインの服を素早く脱がせた。それから濡れそぼった蜜を啜る。

「んあっ、やあんっ、あんっ」

 心地好い嬌声が上がり、オレは欲望に押されるまま湧き出る蜜を味わい尽くした。元の形を崩すほど泥濘んだ隘路の姿を見た時、レインの準備が整っている事を確かめ、オレは素早く衣服を脱いだ。

 既にオレの欲望は芯をもって立ち上がって、はち切れんばかりだ。今すぐにでもレインと繋がりたい。オレはそそりたった熱塊を彼女の中へと収め、なんとも言えない悦予に全身を震わす。もっと深く愉悦を感じたい。

「おいで、レイン」
「え?」

 接合されたままオレはレインの躯を起こすと、彼女は何事かと慌てふためく。グッと躯を引き寄せて、口づけをしそうなほど顔を近づけた。

「ライ……これは?」

 慣れない体勢にレインは小刻みに震えていた。オレは子供をあやすように微笑んで答える。

「たまにはこういう体勢もいいかなって」
「オ、オレは恥ずかしいぞ。……か、顔が近いし」

 今にも消えそうな声で恥ずかしがるレインの姿を見て、オレは咄嗟に彼女を抱き寄せ顔を隠し、腰を揺らし始める。

「あんっ、やあっ、はっあんっ」

 レインは初めての体勢に戸惑いながらも快感を得ていた。

「いつもみたいにオレが一方的に責めるんじゃなくて、こうやって感じ合うように、互いが責めるのもいいかなって思ってさ」

 彼女と一緒に快感を生んで愛を感じ合いたい。次第にレインの顔から戸惑いは消え去え、腰の動きも滑らかになり、陶酔感に浸っているのが分かった。このまま愉悦の波に溺れ合えばいい。

「レインの中、熱い」
「はあん、あんっ」
「オマエの愛情に包まれているみたいだ」

 しっかりとレインのあいが伝わってくる。情熱と優しさで出来たレインの愛情は何処までもオレの心を温めてくれる。そこに快感も交って、あっという間に悦楽の彼方へと流されて行きそうになる。

 レインにしがみつかれ、動きを持ってかれる。腰の振り方が煽情的でヤバイ。オレが動かなくてもレインは自身で快感を生んでいた。オレの分まで快楽を膨らませ、余裕を打ち砕く。初めての筈なのに覚えが良すぎて脱帽する。

 接合部は情液を噴き出し、洪水でも起こしたように凄まじく淫靡な光景になっていた。そしてレインが夢中になっている事に昂奮し、オレは彼女に流されるまま降り積もる悦楽に溺れる。そこにさらに衝撃を与えられる。

「はぁはぁ……ライ……愛してる。オレを愛してくれて……有難う」

 心臓を撃ち抜かれた。ここで今のセリフは最高の贈り物だろう。レインは天然でやるもんだから敵わない。オレが生涯かけて愛したいと思った唯一の存在だ。その想いはこうやって彼女と繋がれば繋がるだけ大きくなる。

「レイン……それは……オレも同じだ。有難う、愛している」

 オレはこれ以上にないほどの笑みを広げて答えた。そして互いの想いに溢れたオレ達は精が尽きるまで愛し合った後、眩い世界へと微睡んでいった……。


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 心地好い温もりに包まれながら目が醒めた。腕の中には愛しのレインいる。

 ――リラウサ達が隣にいる。いつの間に……。

 二匹は仲が良さげに寄り添っていた。途中でレインが目を醒まして、ここに連れて来たのだろう。よっぽど気に入ってくれたんだな。そしてレインはまたオレの腕の中に戻ったのか。それが嬉しくてオレは彼女の躯をギュっと包み込んだ。

 ――幸せだ。オレの幸せはレインそのものだ。

 彼女が男だろうが女だろうが、オレにとってかけがえのない大事な人だ。とはいえ、女でいてくれて本当に良かったと思っている。ずっと傍にいて貰えるからな。オレはこの命が尽きるまで絶対に彼女を離さない。

 ふとリラウサ達を見ると、祝福しているような温かい眼差しをしていた。こうやって見ると、ただのぬいぐるみには見えない。オレとレインの絆を深めてくれた特別な存在。今後もこのリラウサ達とずっと一緒だ。


 将来オレとレインの家族が誕生すると、リラウサ達も増えていった。赤ん坊が生まれた記念に送られる子ウサが誕生し、それをオレはレインにプレゼントしていた。彼女はいつも嬉しそうに子ウサの洋服を作っている。

 リラウサはぬいぐるみだが、オレとレインには生きているように見え、家族のような存在となっていた。一緒にいると幸せに守られているみたいで、だからオレは家族が増えると、新しい子ウサを迎えていた。

 レインと生涯を誓ってから丸十年が経った頃には親ウサ二人に子ウサは四人となっていた。オレとレインの子供♂三人と♀一人と同じ数だ。そして四人目が生まれる前、オレは騎士団長へと昇格した。

 家族が増える一方で仕事は忙殺となり、レインに子供の面倒を任せっきりとなっていた。彼女は文句の一つも言わない良妻賢母で、子供達はやんちゃ者ばかりだが元気で素直な子達ばかりだ。♂三人はオレと同じように騎士になると夢を抱いている。

 ある日だ。レインが体調を崩した。子供達の面倒を見ながら飲食店ウォルフも経営する彼女にとんだ無理をさせたと、オレは自分を酷く責めたが倒れた原因は別にあった。おめでた・・・・だったのだ。

 オレは急いでリラウサ専門店に足を運んで、新しい家族となる子ウサを見つけに行った。初めの頃、話し掛けてきたあの店員は今では店長となって、すっかりオレとは顔馴染みだ。そしてこの日、新しい子ウサを迎えた。

「ただいま」

 帰宅するとすぐにレインが出迎え、オレは手に持っている大きな包みをすぐに渡す。彼女の表情がパッと輝き、中身が何か気付いたようだ。早速彼女はリボンを解いて中身を取り出す。

「わあっ! 新しい子ウサだ!」

 中身が何か分かっていても、彼女は初めて目にするような興奮を見せてくれる。生まれてくる子がまだ男か女か分からないが、元気な子であればどちらでも構わない……とはいえ、やっぱり女の子は可愛い。

 娘は絶対に嫁にやらんという父親の気持ちが長女が誕生して実感した。今度も同じ気持ちになるのだろう。そして五人目は女の子だった。オレとレインの性格には全く似ず、恥ずかしがり屋でしおらしい子に成長した。

 事もあろうにジュラフ団長の七番目の息子から執拗な猛アプローチを受け(団長似で恐ろしい執念の持ち主)、娘を巡ってバトルになるとはこの時のオレは知る由もない。それにしてもジュラフ団長とは切っても切れない縁が続くのであった……。

「お父さん、おかえりなさい」
「わあ! あたらしいリラウサだぁ~!」
「みせてみせて!」
「ミィーにもみちてぇ~」

 一斉に子供達が出迎えてくれたが、すぐにレインの持つリラウサに食いついた。どの子もレインに似てリラウサが大好きなのだ。オレはヒョコッと一番下の娘ミスティを抱き上げて、子ウサに近づける。

 するとミスティは手を伸ばし、嬉しそうに子ウサを抱き締めた。息子達が「ずっるーい」「お父さんはミスティにあっまーい」と、頬を膨らませて抗議する。そう様子をレインは破顔して見つめている。

 レインと子供達見てオレは心底果報者だと思った。この未来があるのはすべてレインが命を張ってオレを助けてくれたからだ。その恩を忘れずに生涯彼女と子供達を愛し続ける事を改めて心に誓った……。


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「ふむ、変わらず万事オッケーで何よりだ」

 招かれてもない客がセラス家に闖入ちんにゅうしていた。黒曜石のような艶やかな長い髪と赤紫の双眸をもつ麗人である。際立つ容姿をもっているにも関わらずセラス家の人間は誰も彼女の存在に気付いていない。

 それもその筈。彼女は人間ではなく生まれたての新しい命を運ぶ天使・・である。彼女はかつてライノーの命を救う為にレインを手助けした……と言えば聞こえはいいが、実際彼女のとんだミスでレインとライノーにド迷惑をかけた張本人だ。

 彼女は時折こうやってセラス家に来て様子を覗いている。今となってはレインとライノーの二人は特に問題はないのだが、万が一歴史が変わるような事があれば軌道修正を行う必要がある。

 レインの人生は女として生まれ、ライノーと生涯を共にする運命である。ところがこの天使、色恋沙汰に溺れている間に誕生したレインの魂を取り損ねてしまった。後日新たに受精が実り、再びレインの魂は誕生するが……なんと! 性別が逆になっていた。

 その事に天使が気付いた時には取り返しがつかず、レインは男として決定されてしまった。天使は仕方がないと潔く諦めたのだが、のちに死ぬ筈ではなかったライノーの命が絶たれるという歴史に狂いを出し、神の怒りを買ってしまった。

 責任を負う事になった天使は僅か十日間の時間で男のレインを女に戻さなくてはならなくなった……というのが事の発端である。そもそもレインが女に生まれていた時点でライノーとは結ばれる運命にあった。

 何故なら女であれば、ライノーは殺し屋の首領がレインを好ましく思っていない場面に遭遇し、おのずとレインに好意を抱く運命であった……のだが、レインが男であれば、ライノーは殺し屋首領の本性を知る事が出来ずに死ぬ運命となるのだ。

 天使は無事にレインの人生を女として軌道修正させたが、歴史を正してもレインが男であった記憶が彼女にはあり、それはライノーも知ってしまった。それがいつ歴史を綻ばせるか分からない為、天使は定期的に二人の様子を見に来ているのだ。

 ――それにしても驚いたな。ライノーにレインが男だった頃の記憶が残っていたとは……。


 レインが女になった世界ではライノーに男レインの記憶は消失している筈だ。なのに彼は断片的に男レインとの記憶を引き出していた。これは完全に予想外であった。

 ――それだけ彼等の絆と愛が深いというわけか。おまけにリラウサぬいぐるみまでリア充とみた。……ケッ。

 天使は羨望のあまりか、無意識の内に品のない舌打ちをした。これ以上人の幸せなんて見てらんなぁ~いと、踵を返そうとした時だ。

「こうやって幸せがあるのもレインが女でいてくれたからだな」
「オレもそう思うぞ。幸せを感じる度にあの女神に感謝しているんだ。女に戻してくれて有難うって」

 背後からレインとライノーの会話が聞こえて天使は足を止めた。振り返ると幸せオーラ全開の二人の姿に天使は胸の内に何とも言えない感情を抱いた。自分のミスで散々大変な思いをさせた二人は自分を恨むことなく、寧ろ感謝しているのだ。

 ――何処まで人が良いんだか……。

 呆れ返っている天使だが、胸のポカポカしたい気持ちに悪い気はしていない。

 ――人間も悪くないもんだな。

 天使は魂を運ぶだけで特に人間には興味なかったのだが、関りを持てたのが「レイン」と「ライノー」であった事を心から嬉しく思えたのだった……。





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