Birth12「偽りに仕置きを」




 私の背は寝台へと落とされ、素肌が陛下の美しい艶髪にくすぐられながら、双丘を弄ばれておりました。

「は…ぁん、あ、あぅ…」

 一方の乳房は揉みしだかれ、もう一方は絶妙な舌が輪郭をなぞるようにして、螺旋状にえがかれていきます。大きな手と水気を帯びても熱く執拗に絡みつく舌は私に逃げ出す隙を与えません。

「其方の乳房は私の手に収まり切れぬ程、豊満で美乳だ」

 陛下は艶やかな笑みを浮かべ、お褒めの言葉を落とされますが、私はこのような刺激を与えられ、お腹が張ってしまわないか、またはお腹の御子にご負担になっていないかなど、気が気ではありません。

「はぁ、はぅ…あん」

 しかし、躯の心配とは裏腹に感度が上がっているのは確かです。いけません、このままでは完全に流されてしまいます。なんとかして陛下をお止めしなくてはなりません。

「へ、陛下。私は…只今…悪阻つわりがございまして…このような事を…受け入れられる…気分では…ございません」

 私は絹糸のようなか細い声を上げ、弱々しい姿でお伝えをしました。今の私の言葉に陛下の手が止まります。私は咄嗟に偽りを言葉にしました。実際、悪阻は治まっているのですが、気分が悪いと申し上げれば、さすがの陛下もお止め下さると思ったからです。ところが…。

「其方は何を言っておる?」
「え?」

 陛下は驚きに打たれているご様子です。そこまで驚かれる程、可笑しい事を申しては いない筈ですが…。

「あの…何か…?」
「其方が申した悪阻とはなんだ?」
「え?」

 今度は私が吃驚してしまいます。何故、陛下は悪阻をご存じでないのでしょうか?男性だから…?そんなご理由でしょうか?いえ、さすがにいくらなんでもそれはありませんよね?

「えっと、妊娠初期に起こる吐き気と嘔吐の事ですが、陛下、ご存じでは?」
「なるほど」

 ここで陛下は目の前の霧がすうっと晴れていくような表情へと変わられました。

「其方の世界では存在していた消化器系一群の症状か。だが、こちらの世界では妊娠初期にそのような悪阻というものは存在せぬ」
「え?」
「其方、こちらの世界に来てから、体調不良の様子は見受けられなかったように思えるが?それはこちらの世界に参って体質が変わったからだ」

―――なんとそんな事が…。

 あるのでしょうか。ですが、陛下がおっしゃる通り、こちらの世界に来てから、悪阻の様子はありませんでした。元の世界で襲われたあの嘔吐と付き合いがないのは本当に幸運な事だと言いたいところですが、今の私には返って不都合です。

 そうです、陛下には私の嘘がお見通しされているのです。私は口を噤み、罰が悪そうにして肩を竦めす。まともに陛下のお顔を見られません。

「他愛のない偽りを申す者には仕置きが必要だ」
「え?」

 瞬時の驚きも束の間、瞳を鋭く光らせた陛下から躯を覆われ、再び胸に手を掛けられます。

「あぁっ」

 ほんの少しの嘘が自ら抗えぬようにしてしまうなど、これは自業自得となるのでしょうか。そして獲物を狙う鷹のように鋭い眼光を見せられる陛下の気迫に押され、罰を受けざるを得ない気持ちへとなっていきます。

「あ…あぅ、はんっ」

 敢えてでしょうか。陛下の舌は双丘どちらの頂にも触れず、際どいラインまでで留めていらっしゃるのです。その内に足りない何かを強調するかのように、胸の先端が鋭利な姿と変わっていきました。

「乳頭がここまで硬く屹立し、存在を強調させているのは快楽を得ている証拠だ」
「あっ!」

 頂からビリッと電流が駆け抜けました。不意に舌が先端を突っついてきたのです。触れるか触れないかの軽くではありますが、私の躯は過剰な反応を示しました。

「あぅ、はんっ」

 幾度も触れられ、次第に波紋が広がるような快楽が躯中へと浸透していきます。気が付けば声は容易く蕩けており、それが合図かのように双丘の先端は呑まれてしまいました。

「あ―――っ」

 一瞬にして、頭の中が白く溶け落ちるような陶酔に襲われました。背を反り、退けようとしても陛下の腕に阻まれてしまうのです。一度呑まれてしまえば、まるで火が点いてしまったかのように、激しさが広がっていきます。

 舌は左右の頂を間髪入れずにしごき、時には唇で甘噛みや、ぢゅぅと吸い立てをし、時には唇で吸収したまま舌を這いずり廻したりと、まるで咀嚼そしゃくするように激しく貪られておりました。そんな陛下のなんとも言えぬ淫靡なお姿に、躯の内側で眠る官能が揺さぶられます。

「実を付けたての初々しい果実のようだと思っていたが、熱を加えれば、これはまた紅潮とした色に変わったな」

 それだけ陛下が刺激を送り込んでいるのです。彼は舌なめずりをし、満面な笑顔で私を見下ろしています。それが私には傲慢な面構えに見えました。それから頭の芯が痺れるような感覚と気が遠くなるような恍惚感に陥り、湿りを帯びた双丘は生々しく色づけられていきます。

「もう…本当…これ以上…は…お止め…下さい」

 私は躯の火照るような熱さに堪えられず、弦を震わせるような細い声を発し、制止をかけます。

「本気で拒むと言うのであれば、私を退ければ良い」
「あぅっ!」

 陛下は稲妻の如く視線で貫き、胸の形が変わる程、強く揉みしだき、最後には左右の胸を中央に寄せ、二つの実を一度に吸い上げられました。ぢゅぅぢゅぅと淫猥な音を洩らし、私の理性を狂わせます。

「はぁあ…んっ!」

 故意に拒めぬよう快感で阻止されます。陛下ははなから行為を止められるおつもりはないのだと悟りました。それが私の抗う力を失わせ、私はされるがままの愛撫を受け入れてしまうのです。

「どうした?先程までは抗う姿を見せていたが、今は大人しくなっておるな」

 優雅な笑みを浮かべられ、気色取ったその表情は人を惑わす妖魔のようです。これだけ顔立ちが整われた隙のない美貌をお持ちの方ですので、実にそう思うのです。そんな妖かしに捉えられた私の瞳はウットリと潤っておりました。

「そのような物欲しげな表情をされて、この先を行かぬなど無粋と言える」
「え?」

 陛下から剣呑な雰囲気を感じ取り、私は目を大きく目張ります。

「もう其方から拒む言葉を出させぬ」
「え?…ひゃあっ!」

 突然、夜着の裾を捲り上げられ、私の脚は露わとなり、新たな不安が押し寄せてきました。





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